2007年8月の星だより

【2007年8月1日 アストロアーツ】

夏休みの見どころは、夏の星座と天の川、真っ暗な空の流星ショー、赤銅色に染まる月…。あげればきりがないほどですが、そんな中から今月注目の現象や天文学の話題を紹介します。


ひさしぶりに見られる皆既月食

(皆既月食の様子)

8月28日午後7時37分(東京)、食の最大をむかえた皆既月食の再現。脇に見えている5等星は、このあと皆既食のままの月に隠される(ステラナビゲータ Ver.8で作成)

月は太陽の光を反射して輝いているので、地球から見てちょうど太陽の反対側にあると、地球の影にさえぎられて「月食」が起きます。ところが、ふだん月が1周するたびに私たちが見るのは、くまなく照らされた満月です。太陽の周りを回る地球の軌道と月の軌道は少しずれているので、月が地球の影に入り込む、つまり月食が見られるチャンスはあまり多くありません。

実は、今年は月食が2回も起きる珍しい年です。1回目は3月4日の朝でしたが、日本では月が欠け始めると同時に沈んでしまったため、一部地域で「部分月食」が見られる程度でした。それに対し、今月28日の宵には月が欠けながら昇ってきて、やがて月が完全に影に隠される「皆既月食」となります。

前回日本で皆既月食が見られたのは2004年5月5日でしたが、これは一部地域のみ。全国で見られたのは2001年1月10日、しかもこのときは全国的に天気が悪かったため、事実上2000年7月16日以来7年ぶりの皆既月食と言えるかもしれません。ちなみに、今回を見逃すとさらに3年以上おあずけになってしまいます。

地球の影に隠されても、地球の大気を通過した赤い光が月を照らすので、欠けた部分は赤銅色に見えます。肉眼で見てもおもしろいですが、双眼鏡なら拡大した分だけ何倍も楽しめます。しかも、皆既月食中に月が星を隠すというとても珍しい現象が起きるので、見逃せません。

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月明かりのない、最高条件の「ペルセ群」

(ペルセウス座流星群イメージ図)

ペルセウス座流星群のイメージ図(ステラナビゲータ Ver.8で作成)

皆既月食(満月)が28日なので、半月前の8月13日は新月です。そして、8月13日と言えばペルセウス座流星群。月明かりのまったくない、最高の条件で楽しめます。

出現がピークをむかえるのは12日深夜から13日未明と予想されています。1時間に50個程度の流星がほぼ確実に見られるので、夏休みを生かして空の暗いところへでかけるのもよいでしょう。

ちなみに、ペルセウス座流星群の出現期間は7月下旬から8月20日ごろまでと比較的長い上に、夏休みの間に出現する流星群はペルセウス座流星群以外にもあります。一晩中月明かりがなくて流星が多いのは12日から13日にかけてですが、それ以外の日でも流星は見えます。機会があれば探してみましょう。

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この夏は望遠鏡を使ってみよう

天体観察といえば望遠鏡。しかし、暗い天体を見るためには大きな望遠鏡が必要で、大きな望遠鏡は高価なので敬遠しているという方も多いはず。そんな方におすすめしたい、気軽に望遠鏡をのぞき込む方法をご紹介しましょう。

夏休みならではの方法が、各地で行われる星まつりに参加することです。多くの機器が集まるので、大小さまざまな望遠鏡を体験することができます。そして何より、人が集まるので貴重な情報を手に入れることが可能ですし、多くの会場では望遠鏡操作の講座も行われます。コンサートなどの楽しいイベントも盛りだくさんで、初心者も安心して参加できます。

近所に科学館や天文台があれば、観望会の有無を調べてみましょう。多くの施設では、季節の天体を望遠鏡で見せてくれる観望会を定期的に開催しています。とりわけ1日から7日にかけては、国立天文台を中心とした全国的なキャンペーン「スター・ウィーク 〜星空に親しむ週間〜」が開催され、さまざまなイベントが行われます。

最後に、「やっぱり自分の望遠鏡が欲しい」という方には組み立て望遠鏡がおすすめです。特集「2007年夏の星空三昧」では、安くても月のクレーターなどがしっかり見える望遠鏡を紹介しています。自分で作り上げる喜びもあって、子どもの工作にも最適です。

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