火星で液体の水に関する新たな証拠を発見
【2007年11月2日 University of Arizona - HiRISE】
火星を探査中のNASAの火星探査機マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)が、液体の水の存在を示す新たな証拠をとらえた。
火星の南極にある高地には、古いクレーターや、風の作用や火山活動によって形成された興味深い地形が数多く存在している。またそこには、水によって形成されたと思われる多くの深い峡谷もある。峡谷をつくった液体の水は、地中に吸収されず表面を流れていたか、地中からにじみ出てきたものか、あるいは、その両方であった可能性もある。
NASAの火星周回探査機マーズ・オデッセイと火星探査機MROが協力して行った観測で、そのような地形に液体の水が存在していたことを示す強力な証拠が発見された。それは、液体の水によって形成される塩化物を豊富に含む堆積物だ。
発見された堆積物は、比較的少量ずつではあるが、火星ではもっとも古い地形の1つと考えられているNoachian Terrainと呼ばれる領域に25平方キロメートルにわたって分布していた。また、それよりもさらに少ない量が、地質学的には中間の年代にあたるHesperianと呼ばれる領域で発見された。
MROの画像には、明るい肌色をした堆積物の一部を見ることができる。これは、Terra Cimmeriaと呼ばれる領域にあるクレーターをとらえたものだ。クレーターに名前はなく、あまりに古いためにその一部が埋もれてしまっている。
堆積物は低地に存在していて、厚みは比較的薄く見える。また、あちこちにくぼみができ、とぎれとぎれになっているのは、侵食によって物質が取り除かれたことが考えられる。
発見された堆積物はひじょうに古いものである可能性がある。そして、何よりも堆積物の存在は、過去火星の表面(もしくは表面に近いところ)が液体の水に適した状態にあったことを強く示しているのだ。その水が、どれくらいの量であったのか、またどのくらいの間存在していたのかを明らかにするために、現在調査が進められている。