火星探査機MRO画像集:地球以外の惑星では最高の望遠鏡
【2007年2月5日 HiRISE Operation Center(1) / (2) / (3) / (4)】
2006年11月から本格的な観測期間を続けているNASAの火星探査機、マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)の最新画像を公開しよう。すべて、地球周回軌道を離れた望遠鏡としては過去最高の性能を誇る、高解像度カメラHiRISEによるものだ。
ハッブルに迫る解像度の木星
ここにある木星の高解像度画像を撮影したのは地上の超大型望遠鏡でもなければ、ハッブル宇宙望遠鏡でもない。火星の軌道上からMROが撮影したものだ。画像が撮影された1月11日の時点では、火星から見て木星はちょうど太陽の反対側で、2つの惑星が一番近くなる時期だった。
この画像はカメラの調整のために撮影されたもの。そのためややピントがずれていたが、画像処理を経てハッブル宇宙望遠鏡の木星写真に匹敵するものとなった。
大量の水が流れた証拠 ― 堆積物で埋まる渓谷
シレーン陸地(Sirenum Terra)に存在するクレーターには、裂け目のような小渓谷が数多く見られる。彫りこまれたように深く暗い口を開けているものがある一方で、幅が広く浅いものもあり、その姿はさまざまだ。
渓谷の多くは、谷底が堆積物で埋まっている。表面を削ってできたような渓谷や堆積物の存在は、過去に水が流れた証拠と言える。渓谷の上に堆積物が積もり、その堆積物が再び削られ…といった、幾度にもわたって水が流れたことを物語る地形も存在するという。
隕石、火山、水、風…さまざまなできごとが刻まれた地形
この画像は、アラビア陸地(Arabia Terra)のクロメリン(Crommelin)クレーター北西部を274キロメートル上空から撮影したもので、最高27.4センチメートルの解像度が得られている。
黒い砂の中から、白っぽい岩が露出している。岩の層、欠け方からは堆積岩であることがわかる。どうやら、大昔に形成されたクレーターの底に何らかの理由(おそらく火山や湖など)で砂や土壌がたまり、固まってできたようだ。
ここの光景は刻一刻と変わっているようだ。画像の右側には黒っぽい砂が目立つが、おそらく砂嵐が表面の白い層を吹き飛ばした結果なのでないかと考えられている。白い砂と黒い砂の間に走る筋模様は、火星のほかの場所でも見られる特徴である上に、数か月で変化していくことも知られている。そうだとすれば、この画像に写っている砂の模様はつい最近できたものだ。
火山噴火がつくった地層か
マリネリス渓谷の西の端に位置する直径120キロメートルのオウデマンス(Oudemans)クレーターの中央には、隆起した地形がある。その断面を拡大したのが、この画像だ。地層がきれいに露出している。
これほど美しい地層が残されていることは珍しいが、隕石クレーターの中央に地層が露出すること自体は珍しくない。オウデマンスの周囲には似たような露出を見せるクレーターが複数存在するし、マリネリス峡谷の斜面にも地層が現れている。
大昔に火山灰が積もってでき上がった地層が、隕石の衝突や水の流れによって現れたのが、こうした地層なのではないかと見られている。