火星にかつて川が流れていた証拠が見つかった
【2003年11月14日 JPL News】
NASAの火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーの調査により、火星の表面に扇状の地形が見つかった。かつて火星に長期にわたって川が流れていたことを示唆する重要な観測結果となりそうだ。
マーズ・グローバル・サーベイヤーは、1997年12月に火星周回軌道に入り、これまでに15万5000枚以上の画像を撮影してきた(それでも、火星全体の3%しか撮影していない)。これまでにも興味深い画像を多く送信してきたが、特に今回の画像は、かつて火星に川や湖といった永続的な水が存在していたことの強い証拠となりそうである。
画像には、長さ13km、幅11kmの扇状の地形が写っている。また、その地形の上には、複数の川が蛇行しながら長期間にわたって流れたことによりできたと思われる削られたような跡が残されている。
さらに、この扇状の地形は地球で見られる三角州(もっとも有名なものはナイル川河口付近のものであろう)によく似ている。もし本当に三角州であるとすると、三角州は川が海や湖などまとまった水へと流れ込むところにできるので、火星に湖があったということも示唆している。これらの結果から、火星にかつて川や湖があったと考えられるというわけだ。
現在の火星には液体の水は見つかっていないが、別の探査機マーズ・オデッセイの観測結果から、地表の浅いところに氷が存在するとみられている。火星の水に関する調査は、マーズ・グローバル・サーベイヤーやマーズ・オデッセイのほか、この夏に打ち上げられた新たな探査機も含めて、今後も引き続き行われる予定である。