山形の板垣さん、明るくなる途中の超新星を発見
【2008年1月29日 VSOLJニュース(190)】
1月27日(世界時)に、山形県山形市の板垣公一さんがエリダヌス座の銀河NGC 1200に超新星を発見された。板垣さんは2日にも超新星を発見されているが、1月に2個の超新星を発見されるのは2004年と2007年に続いて3回目。また、今年に入ってからの日本人による超新星発見は4例目となった。
VSOLJニュースより
年明けから続く、日本人アマチュア天文家による新天体の発見はまだまだ終わりそうにありません。今回、エリダヌス座の銀河NGC 1200に出現した超新星を発見された山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんは、今月初めにも超新星2008Bを発見したばかりです。
板垣さんは、自宅のある山形市と栃木県高根沢町にそれぞれ望遠鏡を設置しており、天候によって使い分けながら新天体の捜索を続けています。今の季節、雪の多い山形市では観測が困難なため、高根沢町での観測がメインとなります。超新星2008Bも高根沢町で発見したものでした。しかし、わずかな晴れ間をぬって今年初めて山形市に設置している60cm反射望遠鏡で捜索を行なったところ、1月27.455日に撮影した画像上に、15.5等の明るさの新天体が写っていることに気付きました。直後の27.51日に埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さん、さらに27.786日にはイタリアのコレリ(P. Corelli)さんによって天体の存在が確認され、超新星2008Rの符号が付けられました。超新星の位置は以下のとおりで、母銀河であるNGC 1200の中心核からは西に12秒角、南に9秒角ほど離れたところにあたります。
赤経: 3時03分53.70秒 赤緯:-11度59分39.4秒 (2000年分点) NGC 1200の周辺星図と、DSS画像に表示した超新星
NGC 1200はその形状からレンズ状銀河に分類され、渦巻銀河や不規則銀河のように星形成は活発ではありません。そのため超新星2008Rは、大質量星起源の重力崩壊型のものではなく、白色矮星の核爆発で起きる超新星(スペクトル分類ではIa型超新星と呼ばれる)である可能性が高いと考えられます。また、発見の翌日28.838日には、コレリさんによって14.6等まで増光しているところがとらえられています。この明るさは、この銀河に出現するIa型超新星の極大等級と合致します。板垣さんの発見は極大の前であったことも推測されます。
今後の分光観測による超新星の分類が待たれるのはもちろんのことですが、日本人アマチュア天文家による新天体発見ラッシュがいつまで続くのか、たいへん期待されるところです。
超新星2008Rの位置
この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。
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