星がひしめく、渦巻銀河の中心付近
【2009年1月27日 ESO】
スペイン・カナリア天体物理研究所の研究チームが、渦巻銀河NGC 253の中心付近から、生まれたばかりの星がひしめく明るい領域を30か所以上見つけた。また、同銀河の中心にはわれわれの天の川銀河同様、超巨大ブラックホールが潜んでいるらしいこともわかった。
NGC 253は、ちょうこくしつ座の方向約1300万光年の距離にある直径約7万光年の渦巻銀河である。地球からとくに明るく見える渦巻銀河の1つであるとともに、爆発的な星形成が進むスターバースト銀河でもある。
研究チームは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡(VLT)を使って、NGC 253を近赤外線で観測した。その結果、銀河の中心付近にひじょうに明るい領域が37か所も見つかった。銀河全体の1パーセントほどの領域しか調べなかったにもかかわらず、これまでのNGC 253における発見数を3倍に伸ばしたのである。
観測で見つかった構造の中には、大きさがわずか11光年という小さなものも含まれている。VLTに搭載された補償光学装置による高解像度の観測が功を奏した。
研究チームの一人、Jose Antonio Acosta-Pulido氏は「これらの明るい領域では活発な星形成が進んでいて、周辺のちりだらけの雲から生まれた星がひしめいているのではないでしょうか」と述べている。VLTの観測結果を、可視光や電波のデータと総合すると、1つの領域につき最大で10万個もの若くて重い星が存在するかもしれない。
また、今回の成果によれば、NGC 253の中心構造は「いて座A*(Sgr A*)」の大型版になっているようだ。いて座A*は、われわれの天の川銀河の中心にある明るい電波源で、その中心には超巨大ブラックホールが存在するとされている。研究チームのAlmudena Prieto氏は「私たちは、天の川銀河の中心核の、双子のきょうだいと言えそうな存在を発見したのです」と話している。