爆発的な星形成が進む小型の不規則銀河NGC 4449

【2007年7月6日 Hubblesite Newscenter

小型の不規則銀河NGC 4449では、周辺銀河の影響により爆発的な星形成が広範囲で進んでいる。小さな銀河が吸収・合体を繰り返していた初期宇宙では、NGC 4449のような銀河が数多く存在していたと考えられている。


NGC 4449の可視光画像

NGC 4449の可視光画像。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, A. Aloisi (STScI/ESA), and The Hubble Heritage (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration)

NGC 4449は、りょうけん座の方向1250万光年の距離にある小さな不規則銀河だ。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)がとらえたNGC 4449の画像には、銀河の細部までが見事にとらえられている。赤や青の小さな点は、この銀河に存在する星。青白く見えているのは星団で、大質量星が集まっている。あちこちに存在している赤っぽい領域では、星形成が進んでいる。星の光を背景にして暗い影となっているのは、ガスやちりがつくる巨大な雲だ。

NGC 4449における星形成は、数十億年前から続いている。HSTの画像に見られる輝きは、過去にない勢いで大量の星が次々と誕生していることを示している。スターバーストと呼ばれるこの爆発的な星形成は、NGC 4449では、あと10億年ほどで終わると考えられている。

スターバーストは通常、銀河の中心部で起きる。一方NGC 4449では、銀河の中心だけでなく、周辺でも若い星が観測されており、星形成が広範囲で起きていることがわかっている。若い星の誕生は、近くにある他の銀河との接近や合体によって引き起こされていると考えられている。

NGC 4449の姿は、宇宙が誕生したばかりのころの銀河に似ているといえる。初期宇宙では、小さな銀河同士が吸収・合体を繰り返すことで銀河が進化していた。その際、NGC 4449に見られるような爆発的な星の形成が引き起こされていたはずだ。

不規則銀河

ハッブルの系外銀河の形態分類の中で、楕円銀河、渦巻銀河、棒渦巻銀河のいずれにも入らない銀河を総称して不規則銀河という。略号Irで表す。宇宙に数多く観測される矮小銀河と呼ばれる小型の不定形銀河や、変形した衝突銀河なども、この不規則銀河に分類される。(「最新デジタル宇宙大百科」より)

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