衛星トリトンをとらえた、ニューホライズンズ
【2009年3月13日 New Horizons News】
NASAの太陽系外縁天体探査機「ニューホライズンズ」がとらえた、海王星とその衛星トリトンの画像が公開された。
太陽系外縁天体探査機「ニューホライズンズ」は、昨年10月16日に海王星最大の衛星トリトンを撮影した。
画像は、海王星から約37億5,000万kmの距離から、ニューホライズンズに搭載されている望遠撮像装置(LORRI)を使ってとらえられたもので、明るさが海王星の180分の1しかないトリトンの姿をはっきりと見ることができる。
ニューホライズンズ計画の研究者で、米・ジョンホプキンス大学のHal Weaver氏は、「LORRIが、ひじょうに明るい天体の近くに位置する暗い天体をとらえる能力を試すために、特別な追尾モードで撮影しました」と話している。
トリトンは、1989年にボイジャー2号による観測で火山のような地形が発見されるなど、13個見つかっている海王星の衛星の中でもっとも興味深い。
また、大きさや表面温度、大気の組成が冥王星とよく似ている。まず、トリトンの直径が約2,700kmであるのに対し、冥王星の直径は約2,400km。ともに窒素を主成分とする大気を持ち、気圧は地球の7万分の1ほどしかない。さらに、表面の温度は、トリトンが摂氏マイナス約200度、冥王星が摂氏マイナス約190度である。
トリトンは、もともと太陽系外縁天体の仲間だったが、太陽系初期に他の天体と衝突し、海王星のまわりを回る軌道にとらえられたと考えられている。
LORRIは、冥王星に到着する2015年まで休止モードに入っているが、毎年1回点検が行われ、その際に海王星とトリトンを観測する。ニューホライズンズは、太陽に照らされた海王星とトリトンを地球からは見られないような角度で観測できるので、両天体に関する新たな情報が得られると期待されている。
海王星の衛星トリトン
海王星には、これまでに13個の衛星が発見されています。もっとも興味深いのは衛星トリトンです。トリトンは海王星最大の衛星で地球の月の4分の3ほどの大きさがあり、ごく薄い大気もあります。太陽から遠いため表面温度は低温で、摂氏マイナス200度以下と考えられています。表面には2種類の地形が見られ、ところどころ噴煙を上げる火山のようなものがあります。これは「氷の火山」と呼ばれ、噴煙は窒素のガスや微粒子と考えられています。(太陽系ビジュアルブック改訂版」より)