衛星タイタンの立体地図が公開に

【2009年4月2日 JPL

NASAの土星探査機カッシーニによるレーダー観測から、衛星タイタンの立体地図が作成された。鳥瞰動画も同時に公開されており、高さ1200mほどの山の頂上や北極にある複数の湖、高さ100m以上の広大な砂丘などを上空から眺めているかのような体験をすることができる。


(レーダー観測のデータを元に作成された立体地図)

19回のタイタン接近の際に行われたレーダー観測のデータから作成された立体地図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/USGS)

カッシーニのレーダーを解析しているRandy Kirk氏は、米国地質調査所の天体地質科学センターとともに、タイタンの立体地図を作成した。作成に利用されたのは、カッシーニが行った過去19回にわたるタイタンへの接近で得られたデータである。

立体地図の作成はまだ始まったばかりで、公開された地図で見られるのはタイタン全表面積の2パーセントほどにしか過ぎない。そんな狭い領域にも、変化に富んだ地形が数多く見られる。Kirk氏は「海や湖、川や干上がった海峡、山や砂丘、溶岩の流れなど、地球を思わせるものがあります」とコメントしている。

地図には、タイタンの北極にある湖も含まれている。湖を取り囲む地形でもっとも高い場所の高さは1200mほど、湖の深さは100mからそれ以下と計算されている。

今後、湖の周辺一帯が立体地図化されれば、より正確に湖の深さがわかるだろう。深さが明らかになれば、メタンやエタンなど湖に溜まっている液体の炭化水素の量を決定できる。これらの液体が蒸発してタイタンの大気となることから、液体に関する情報は重要である。また、メタンのサイクルがわかれば、タイタンの天気や気候の理解にも役立つ。

これまでにカッシーニがレーダー観測を終えているのは、タイタンの全表面積の約38パーセントである。今後は、さらに全表面積の3パーセント以上に相当する新たな領域がレーダー観測される予定だ。