全天X線監視装置「MAXI」がファーストライト
【2009年8月19日 JAXA】
先月24日に「きぼう」の船外実験プラットフォームに取り付けられた全天X線監視装置「MAXI(マキシ)」が、8月15日にファーストライトをむかえ、全天X線画像が公開された。画像には主要なX線天体がとらえられており、カメラが正常に働いて期待どおりの性能を発揮していることが確認された。
全天X線監視装置「MAXI」は、7月16日にスペースシャトル「エンデバー号」によって打ち上げられた。その後、若田宇宙飛行士らが操作するロボットアームによって国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームに取り付けられ、8月3日から搭載機器の立ち上げが進められていた。
MAXIは、電力や姿勢制御、通信などの基本的な機能をISSに依存できる。そのおかげで、従来より大型の検出器の搭載が可能となった。今までの全天監視型の観測装置に比べ、天体が放出するX線を10倍高い感度で検出することができる。
ファーストライト画像は、8月15日に(ISSの軌道1周分に相当する)90分間をかけた観測で得られた。30個ほどのX線源がはっきり見えているが、そのうちもっとも明るいのは、中性子星と小さな恒星の連星であるさそり座X-1だ。また、ブラックホールの候補天体として最初に見つかったはくちょう座X−1やマイクロクエーサーとも呼ばれている高速ジェットを放出しているわし座のGRS1915+105、1054年に起きた超新星の残骸であるかに星雲も見えている。いて座にある天の川銀河の中心付近には、多くの明るいX線天体が密集していることもわかる。
今後MAXIは、X線天体の観測データの蓄積を行いながら、X線天体の位置やエネルギー強度を正確に決定するための調整を行い、11月末には本格運用を開始する。
その後2年の運用期間中、超新星やブラックホールと関わりの深いX線新星、ガンマ線バーストなどの変動現象を世界中に速報する役割を担う。さらに、変動する全天X線源のカタログを作成し、これまでに知られていなかった暗いブラックホールや中性子星などを検出したり、活動銀河などの激動する宇宙の姿を明らかにしたりすることを目指す。