板垣さん、近傍銀河に超新星を発見、今年8個目

【2009年10月13日 VSOLJニュース(221)】

おひつじ座の方向およそ6000万光年という比較的近い距離にある銀河NGC 918に、超新星2009jsが出現した。山形県の板垣公一さんはこれをとらえ、今年8個目、通算52個目の超新星発見となった。


VSOLJニュースより

(著者:山岡均さん(九大理))

(超新星2009jsの発見画像)

(左)2007年8月のNGC 918の画像と(右)超新星2009jsの発見画像。クリックで拡大(提供:板垣公一氏)

(遊佐徹氏撮影の確認画像)

遊佐徹氏撮影の確認画像。クリックで拡大(提供:遊佐徹氏)

秋分も過ぎて、北半球では夜のほうが昼よりも長い季節となりました。天体観測にも長い時間が取れると期待されます。そんな折、近傍銀河のNGC 918に超新星が発見されています。発見したのは、山形市のベテラン天体捜索者、板垣公一(いたがきこういち)さんです。

板垣さんは、10月11.69日(世界時、以下同様)に撮影した画像上で、17.2等級の新しい光点に気付きました。翌日の12.527日にも同じ明るさで見えていましたが、9月24.67日に撮影した画像では、この場所には18.5等級より明るい星はありませんでした。新しい天体の位置(板垣さんの発見時の測定)は以下のとおりで、おひつじ座の渦巻銀河NGC 918の中心から35秒角西、21秒角南にあたります。銀河の外側の腕に沿った位置です。

  赤経  02時25分48.30秒
  赤緯 +18度29分26.2 秒 (2000年分点)
  NGC 918の周辺星図と、DSS画像に表示した超新星

この天体は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さんによって確認され、またリック天文台の自動撮像望遠鏡KAITによっても独立に発見されて、超新星2009jsと符号をつけられています。リック天文台ではこの超新星の分光観測も行われ、極大に近いII型超新星であると判別されています。母銀河の距離が18Mpc(約6000万光年)ほどと近く、これから明るくなるかもしれません。今後の光度変化が楽しみです。


超新星2009jsの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

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