次回は70年後?活発な出現が予想されるオリオン座流星群
【2009年10月16日 国立天文台 アストロ・トピックス(512)】
10月21日にオリオン座流星群が活動のピークを迎える。しかも今年は、月明かりのない最高の条件に恵まれている。国立天文台では、より多くの人に流れ星を見てもらおうと「見えるかな?オリオン座流星群」キャンペーンを行う。
アストロ・トピックスより
オリオン座流星群は、毎年10月中旬から下旬に活動する流星群です。この時期に、ハレー彗星が放出したダスト(砂粒)の群れの中を地球が横切るため、ダストが地球大気に飛び込んで発光し、流星として観察されます。これまでは、空の暗いところで1時間ほど観察しても、せいぜい10〜20個程度しか出現しない中規模の流星群でしたが、近年とても活発に出現しています。今年は月明かりもないため、例年にない条件でたくさんの出現が期待できます。
このオリオン座流星群が突然、活発な出現を見せたのは2006年のことでした。1時間あたり100個以上の流星が観測され、この流星群としては過去最大級の出現を記録しました。ダストの軌道を過去にさかのぼって分析したところ、この出現は、紀元前のある時期にハレー彗星から放出されたダストの群れに地球が遭遇したために起こったことがわかりました(アストロ・トピックス 340)。その後、さらに計算を進めた結果、2010年頃までは引き続き活発な出現が期待されることもわかってきました。
実際、月明かりのない理想的な夜空の条件の下に補正した数で比較すると、2007年には1時間あたり50〜70個程度(アストロ・トピックス 421)、2008年には30〜40個程度の出現がありました。今年は昨年よりもやや多めで、40〜50個程度と予想されます。観測条件によって、実際に見られる流星の数は、これよりもだいぶ減りますが、それでもかなりの数の流星を観察できることは間違いないでしょう。
活動の極大は、10月21日頃とされていますが、2006年には21日から24日頃まで活発な出現が見られましたので、今年も極大前後の日を含めて流星が増える可能性があります。オリオン座流星群の場合、流星が見られるのは、放射点が昇る22時頃から明け方の5時頃までの間に限られます。明け方ほど放射点が高くなり、流星数は増えていきます。
研究結果では、こうしたダストとの遭遇によるオリオン座流星群の活発化が、ほぼ70年ごとに起きていることも示されています。つまり、このようにオリオン座流星群が活発になるのは、次回は2070年代まで待たなくてはなりません。2010年の場合には、月明かりに邪魔されてしまうことを考えると、今回の活発なオリオン座流星群を条件よく眺められるのは、今年2009年が最後のチャンスと言えるでしょう。
国立天文台では、できるだけ多くの方に流れ星を眺めてもらおうと、「見えるかな?オリオン座流星群」という観察キャンペーンを実施します。活発に活動すると予想される10月19日の夜から23日の朝までの4夜の間に、15分間以上星空を眺め、その観察結果をインターネットで報告していただこうというものです。世界天文年の秋の夜長を彩る流れ星を数えてみませんか。