67億光年かなたに銀河の大規模構造

【2009年11月11日 ESO

67億光年のかなたに、銀河の集団がつくる巨大な構造がとらえられた。遠方宇宙で大規模構造が発見されるのは初めてである。構造の大きさは約6000万光年で、今回の観測範囲を超えて広がっていると見られる。


(超巨大構造の画像)

銀河団と銀河群がつくる大規模構造。クリックで拡大(提供:ESO/Subaru/National Astronomical Observatory of Japan/M. Tanaka)

宇宙を大きなスケールで見ると、数百の銀河が集まった銀河団があり、その銀河団どうしを結ぶように銀河が分布して、全体としてクモの巣状の「宇宙大規模構造」が形成されている。大規模構造は、われわれに比較的近い宇宙で観測されることが多く、遠方宇宙に同様の構造が存在することを示す確固たる観測例はなかった。

ヨーロッパ南天天文台(ESO)の田中賢幸氏らの研究チームは、国立天文台のすばる望遠鏡とヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡(VLT)を使い、遠方宇宙で銀河団のまわりに銀河群が集まり、大規模構造を形成しているようすをとらえた。

銀河群は数十個存在し、もっとも大きいものは天の川銀河1000倍以上の質量を持つが、大半は10倍である。一方、銀河団の質量は天の川銀河の1万倍ほどと計算されており、銀河群のうちいくつかはやがて銀河団の重力にとらえられて落ち込んでいく運命にあると考えられている。

この構造は地球から約67億光年の距離にあり、少なくとも6000万光年もの広がりを持つ。田中氏らの観測範囲を超えて広がっている可能性があり、大きさを確定させるべく、次の観測がすでに計画されている。