ALMA計画:3台のアンテナが試験観測に成功
【2010年1月5日 国立天文台 ALMA】
建設が進む南米チリのアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA、アルマ)で、3台のアンテナを使って1つの天体を観測する試験が成功した。
アンデス山脈のチャナントール平原に展開するALMAは、欧米と東アジアが協力する国際プロジェクトで、66台以上のアンテナを使い最高レベルの解像度で電波観測を行う干渉計である。
2009年11月20日、ALMAを構成するアンテナのうち、3台目が山頂施設に設置された。技術試験を経て、直径12mのアンテナ3台は遠方の天体であるクエーサー1924-292を観測。受信した信号を合成して、干渉計としての観測に成功した。
2台のアンテナを使った観測は10月2日に成功していたが、東アジアのプロジェクトマネージャーである井口聖さんは「2台だけではどちらのアンテナ側が悪いのか判定することはできないが、3台あればそれぞれのペアを比べることでアルマシステム全体の性能を調べることができる」と語る。「今はまだ3台だが、16台のアンテナが集まれば既存の電波望遠鏡に比べ10倍程度もの感度が向上する。我々に新たな天体ショーを見せてくれるのも、もうすぐである」
今後も新しいアンテナが次々とALMA山頂施設へ運ばれ、2012年から本格的な観測が始まる。アンテナは配置の変更が可能で、間隔を最大18.5kmまで広げることで、ミリ波やサブミリ波では世界最高の感度および分解能をそなえた電波干渉計となる。