赤外線で見通したオリオン座大星雲の中心領域
【2010年2月16日 ESO】
ヨーロッパ南天天文台(ESO)の可視光・赤外線望遠鏡「VISTA」が、オリオン座大星雲(M42)を赤外線で見通し、ちりの奥深くで活発に活動する若い星の興味深いふるまいを明らかにした。
オリオン座大星雲は、地球から約1350光年の距離にある、巨大な星のゆりかごだ。普通の望遠鏡を使った観測でもとても華やかに見えるが、可視光で見えるのものは、星を生み出しているガスやちりのほんの一部でしかない。
VISTAはオリオン座大星雲の中心領域を観測し、深いちりを赤外線の目で見通して、多くの若い星の存在とその活発な活動が周囲に及ぼす影響をとらえた。
画像には、トラペジウムと呼ばれる4重星がとらえられており(画像2枚目左上)、トラペジウムの強い紫外線放射で周囲のガスが波立ったような形をしていることがわかる(画像2枚目右上)。また、ちりの奥深く隠されていた多くの若い星は、平均時速が約70万kmという高速のジェットを放出しており、そのジェットが周囲のガスにぶつかって、分子や原子が高い励起状態となり赤外線で輝いている(赤の擬似カラー)(画像1枚目上部、画像2枚目右下)。
VISTAの観測で明らかになった、星の活動に伴うこれら現象は、星の誕生や若い星を研究する天文学者から注目されている。
なおVISTAは、2009年12月に稼動を始めたESOのパラナル天文台の望遠鏡で、主鏡の直径は4.1m。広視野で、高感度の赤外線検出機能を備えている。