雄大な渦巻き腕を持つ銀河NGC 253

【2010年6月23日 ESO

ヨーロッパ南天天文台(ESO)の可視光・赤外線望遠鏡「VISTA」が、ちょうこくしつ座の銀河NGC 253をとらえた。同望遠鏡の赤外線の眼は、銀河に存在する大量のちりを見通して、銀河の円盤ほぼ全体に広がる雄大な腕をはじめ、その全体像を見せてくれた。


(ラ・シーヤ天文台の2.2m望遠鏡によるNGC 253の可視光画像)

南米チリにあるラ・シーヤ天文台の2.2m望遠鏡によるNGC 253の可視光画像。クリックで拡大(提供:ESO/J. Emerson/VISTA. Acknowledgment: Cambridge Astronomical Survey Unit、以下同様)

(VISTAによるNGC 253の赤外線画像)

VISTAによるNGC 253の赤外線画像。クリックで拡大

ヨーロッパ南天天文台(ESO)の可視光・赤外線望遠鏡「VISTA」が撮影した銀河NGC 253の画像が公開された。

NGC 253は、ちょうこくしつ座の方向約1300万光年の距離にある渦巻き銀河で、ちょうこくしつ座銀河群とよばれるグループの中で一番明るい。全天の銀河のなかでも、もっとも明るいもののうちの1つだ。

NGC 253の特徴は、爆発的な星形成(スターバースト)、そして大量のちりである。南米チリにあるラ・シーヤ天文台の2.2m望遠鏡による画像(1枚目)からわかるように、可視光で見るとひじょうにたくさんの領域がちりに隠されている。

一方、VISTAによる赤外線画像(2枚目)には、円盤の大部分やそこに広がる雄大な渦巻き腕が見えている。また、銀河の核や、星がひしめく棒状構造が核の両側に伸びているようすもわかる。これら中心の核や棒状構造も、可視光ではちりに隠されているために見えない。銀河にあるちりのほとんどが見通された結果、銀河の全体像がはっきりととらえられたのである。

VISTAによるNGC 253の画像は、ハロー(銀河を取り囲む球状の構造)に存在する多数の赤色巨星や伴銀河の調査、球状星団や超コンパクト矮小銀河(アストロアーツによる仮訳、英語ではUltra Compact Dwarf、略称 UCD)といった未発見の天体探しなどの研究に利用されている。

VISTAは、ESOの大型望遠鏡(VLT)と並ぶようにして、南米チリの高地にあるアタカマ砂漠のパラナル天文台に設置されており、地上に設置された望遠鏡としては、格段に鮮明な画像を得ることができる。