準惑星エリスは実はもっと小さい? 恒星食観測から疑惑

【2010年11月10日 Alain Maury

2005年に発見され、冥王星より大きいとされたために、冥王星の惑星としての地位に疑問符をつける一因となった準惑星エリス。11月6日(世界時)に恒星の前を通りすぎる食のようすが観測され、その結果から実際にはもっと小さいのではという疑惑が持ち上がっている。


エリスによる恒星食

準惑星エリスによる恒星食のようす。中央の星の前をエリスが通り過ぎたために光がさえぎられている。(提供:NASA, ESA, and M. Brown(Emmanuël Jehin & others / TRAPPIST Observatory)

11月6日、現在くじら座の方向に位置している準惑星エリスによる恒星食が、南米チリの複数の地で観測された。1分あまりのこの現象を観測したフランスのBruno Sicardy氏らがこれらの観測から導いた暫定的な計算結果によると、エリスの直径はこれまで考えられていた約3000km前後よりも小さく、2340km程度だという。

準惑星エリスは2005年にその存在が明らかになり、推定直径は、2006年にその明るさと熱放射から求められた約2600〜3400kmという値で落ち着いていた。直径約2400kmの冥王星よりも大きな天体が発見されたことが、冥王星をはじめとした太陽系小天体の定義を揺るがす一因となった。

冥王星より重いとされているエリスの質量は大きさとは関係なく求められているため(衛星ディスノミアの観測から推定)、今回の結果で変わることはない。質量がそのままでサイズが小さくなるということは、エリスはより高密度、つまり含まれる氷の割合がより小さく岩石の割合がより大きいということを意味する。たとえ冥王星がエリスより大きかったとしてもいまさら惑星に戻ることはないだろうが、もしエリスの組成が違うとなると、太陽系外縁天体の新たな謎を生む一大事だ。

ただし、観測・報告者のAlain Maury氏やエリスの発見者Mike Brown氏は、エリスが今回の結果通りの小ささだとすると、観測される明るさについての説明が難しいのでは、ということも指摘している。太陽光の反射率がありえないほど高いことになる、ということなのだが、Brown氏に言わせると、従来の大きさでもありえないほどなのだから今回の結果に変更したとしても大した違いはない、とのこと。今後より高精度で詳細な調査・解析が待たれるところだ。