楕円銀河に隠れていた大量の赤色矮星

【2010年12月7日 CfAW. M. Keck Observatory

地球から5000万〜3億光年の距離にある複数の楕円銀河の観測から、これまで考えられていたよりはるかに多くの赤色矮星の存在を示す観測成果が得られた。どうやら楕円銀河には、従来考えられてきた数の5倍〜10倍もの星が存在し、さらに宇宙全体の星の数も、これまでより3倍ほど多いということになりそうだ。


(最大級の楕円銀河の想像図)

最大級の楕円銀河の想像図。クリックで拡大(提供:David A. Aguilar (CfA))

宇宙においてもっとも大きな銀河は楕円銀河である。わたしたちの天の川銀河に存在する星の数は4000億個ほどだが、これまでの観測や研究などから、最大級の楕円銀河には1兆個もの星が存在するとされている。

最新の研究によって、楕円銀河には従来考えられてきた数の5倍〜10倍もの星が存在することが示された。この宇宙に存在する星の数自体も、これまでより3倍ほど多いことになる。

米・エール大学のPieter van Dokkum氏らの研究チームは、ハワイ・マウナケア山頂にあるケック望遠鏡を使って、地球から5000万〜3億光年の距離にある8つの楕円銀河の中心核部分を観測した。

その結果、質量が太陽の10〜30パーセントほどしかない赤色矮星の存在が検出され、その数もこれまでに考えられていたよりはるかに多いことが明らかになった。どうやら、星の種類とその数は、どんな種類の銀河を観測するかによって異なるようだ。人口調査を大都会と田舎とで行ったときに両者の間に見られる違いに似ていると言える。

赤色矮星とは、文字どおり赤くて小さな星である。太陽のような平均的な星に比べて小さく暗いため、天の川銀河以外の銀河ではこれまで検出できず、この宇宙にいったいどれほど多くの赤色矮星が存在するのかも、わからなかったというわけだ。

今回の研究成果で注目すべき点として、銀河内に存在するダークマターの質量が従来の計測に比べて実際には少ないかもしれないという可能性がある。そのかわり、銀河の質量に占める赤色矮星の割合がこれまで以上に大きくなるかもしれない。

米・ハーバード・スミソニアン物理学センターの天文学者Charlie Conroy氏は「わたしたちは、ほかの銀河と天の川銀河を似たようなものと仮定しがちです。しかし、今回の研究成果によって、よその銀河には天の川銀河とは異なる環境が存在している可能性が示されました。この発見は、銀河の形成と進化に関する理解に大きな影響を与えることになるでしょう」と話している。

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