「あかつき」、12月9日に3台のカメラで金星を撮影
【2010年12月10日 JAXA】
探査機「あかつき」の金星軌道投入失敗の原因究明が進められる中、エンジン噴射開始から燃料タンクの圧力が下がり続けていたことが明らかとなった。一方で、姿勢系と推進系以外はすべて正常であることがわかった。また、探査機に搭載されている3台のカメラも正常で、12月9日に金星が撮影された。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は昨日に引き続き、10日午前11時から「あかつき」の金星軌道投入失敗の原因に関する記者会見を行った。
会見によると、昨日ほとんどのデータがダウンロードされ、全データの分析が終了しており、姿勢系と推進系以外はすべて正常であることが明らかになった。
また、姿勢が乱れるまでの現象については、エンジン噴射開始から燃料タンクの圧力が下がり続け、加速度も減少、とくに噴射から152秒後に急激に低下したことがわかった。現在までのところ、スラスターの配管の閉塞が原因ではないかと考えられているものの、詰まるものはなにもないはずだという。
原因究明が進められる一方、「あかつき」に搭載されているカメラ5台のうち3台(中間赤外カメラ(LIR)、紫外線イメージャ(UVI)、1μmカメラ(IR1))が試験のために立ち上げられ、金星まで約60万kmの距離から撮影を行った。
その結果から、カメラの健全性が確認された。残る2台については起動に時間がかかるため、まず2台のうちの1つの試験が年内中に、さらに通信機器についても試験が行われる。その後年明けに、具体的な性能評価試験が実施される。
そのほか、現時点で姿勢制御用スラスターの異常は見つかっていないが、姿勢の時間的な変化に対応して作動するかどうかは、今後の解析が待たれる。
プロジェクトの関係者は、週明けから再び事故原因の究明を進めながら、6年後の再投入の可能性について探る予定である。
※なお、姿勢の乱れが発生したのは、エンジン噴射開始から2分32秒(152秒)後と訂正された。