【募金活動報告】渋谷によみがえったツァイスIV型 五島プラネタリウムの投影機

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【2011年2月4日 星ナビ編集部】

2001年に閉館となった「五島プラネタリウム」の投影機が、2010年11月にオープンした渋谷区の文化総合センター大和田2階ロビーに常設展示されている。アストロアーツでは、「星ナビ」誌面や本Webニュースでの「展示保存募金」呼びかけ「天文博物館 五島プラネタリウムヒストリー」DVDの制作協力などを行ってきたが、ここで展示保存活動の中間報告として、「星ナビ」2011年1月号に掲載した「渋谷によみがえったツァイスIV型 五島プラネタリウムの投影機が渋谷区文化総合センター大和田に展示保存」を紹介しよう。


《「星ナビ」2011年1月号 掲載記事》

写真・レポート:齊藤美和(旧五島プラネタリウム投影機展示保存実行委員会)

組み立て作業の様子

作業を行う技術者

よみがえった投影機

組み立て手順は4名の共同作業によって慎重に行われた。クリックで拡大

木箱に眠っていたプラネタリウムの名機ツァイスIV型が、9年半の時を経てついに目覚めるときがきた。2010年11月21日にオープンした渋谷区文化総合センター大和田に往年の勇姿さながらに展示されることとなった。これは、旧五島プラネタリウム投影機展示保存実行委員会の主旨に賛同して募金して下さった多くの方々の夢が叶うことでもあった。組み立て作業のはじまる2日前、私は「投影機組み立ての工事記録を撮る」という役目を村山定男委員長より仰せつかり、組み上がっていく投影機の一部始終を見守ることができた。

投影機の組み立ては床に設置された新しい台座から立ち上がる2本の脚からはじまった。「あっ、ツァイスくんだ」その特徴的な形は私にとってひときわ懐かしいものであった。設置場所は大きな窓に面しており、十分な外光が得られるので明るく、投影機を見るのには最適の場所であることが伺えた。

作業は順調に進み2日目に惑星棚が取り付けられると、プラネタリウムらしい感じになってきた。4日目には南北の恒星球がついた。星座名の投影機が付けばほぼ完成である。投影機の形が元通りになってくるにつれて、それまで関心を示さなかった通りすがりの職員が、足をとめて「わぁ、すごい、できてる」「これ本物?」などと声をかけてくるようになった。

2名のツァイス社技師と足場を使った重量物の組み立て技術者2名の計4名で作業は進められた。ツァイス社のお二人は、2001年にこの機械の解体を担当されているが、現在ではプラネタリウムや天文とは違う製品を扱う仕事をされており、今回の作業のために、仕事のやりくりをしてスケジュールを空けてくれた。

この機械は二度と動かす必要はない。にもかかわらず、古い油はていねいにぬぐい取られ、新たに高級なグリスが使われているのである。技術者の機械に対する深い尊崇の念を見たような気がした。

こうして由緒ある「Carl Zeiss Model IV」の初号機を組立て展示する作業は完了した。

だが、展示保存実行委員会の仕事は終わっていない。説明のためのプレートも制作しなければならない。残された予算のやりくりもしなければならない。展示保存を募金と言う形で支援してくださった方々への報告も大事だ。やるべき仕事はまだ残っているが、渋谷区文化総合センター大和田はオープンし、投影機は公開された。ぜひ、懐かしい投影機に会いにきていただきたい。


保存展示実行委員会の会合の様子

今年1月31日、保存展示中のツァイスIV型の前に旧五島プラネタリウム投影機展示保存実行委員会のメンバーが集まり、今度の活動や投影機の解説展示などについての会合が開かれた。クリックで拡大

投影機の保存展示を実現するため、募金活動などを行ってきた旧五島プラネタリウム投影機展示保存実行委員会の活動については、同実行委員会ウェブサイト を参照。なお、同実行委員会では、解説の展示を充実させるなど、今後も活動を続けていくという。