地球観測衛星「だいち」に電力異常が発生
【2011年4月25日 JAXA】
災害地域の観測などで活躍してきたJAXAの人工衛星「だいち」に電力異常が発生していることが判明した。すでに目標の寿命を過ぎており復旧は厳しいと見られている。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)が4月22日午前、発生電力の急低下とともに軽負荷モード(最小限の機能維持のための節電モード)に移行し、搭載観測機器の電源がオフ状態となっていることを発表した。その後も太陽パネルによる発電が確認できていないという。
バッテリー駆動により取得した異常発生時のデータをもとに原因調査を進めるとともに必要な対策を講じていくが、同機構の本間正修理事は「非常に厳しい」という見方を記者会見で示している。
このまま運用終了した場合、10〜20年の期間を経て大気抵抗で徐々に高度が下がり、大気圏に突入して燃えつきる見込み。軌道高度や衛星の形状にもよるが、例えば日本初の人工衛星「おおすみ」は打ち上げ・通信終了から33年後の2003年8月に大気圏突入している。
2006年1月に打ち上げられ世界中の地形調査や災害地域の観測に活躍してきた「だいち」は、設計寿命3年、目標寿命5年を超えて運用されていた。後継機の打ち上げは2年後を予定しているという。