厚い雲や暗闇も見通す「だいち」(ALOS)打ち上げ成功
【2006年1月25日 宇宙航空研究開発機構(JAXA)プレスリリース2006(1)/(2)】
世界最大級の地球観測衛星である、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)が2006年1月24日10時33分(日本時間)に、種子島宇宙センターから打ち上げられた。「だいち」を載せたH-IIAロケット8号機は正常に飛行、打上げから約16分30秒後には「だいち」を分離、10時52分に送信された信号によって太陽電池パドルも無事展開した。「だいち」は、厚い雲や夜間など天候等などに左右されずに地表を観測でき、高度700キロメートルの高さから民家なども識別できる分解能で、今後の活躍が大いに期待されている。
1月24日10時33分(日本時間)に無事打ち上げに成功した「だいち」(ALOS)は、その後1月25日午前には、データ中継衛星通信部(DRC)の展開が実施された。「だいち」から受信したデータによって展開されたことが確認され、衛星は正常な作動を続けている。
ALOSとは、Advanced Land Observing Satellite(陸域観測技術衛星)の略、世界最大級を誇る地球観測衛星だ。日本はこれまでにも同様の目的を持った衛星「ふよう」や「みどり」の開発、運用してきたが、そこで得られ蓄積されてきた技術を、さらに発展させた高性能機器を搭載している。
「だいち」に搭載されている観測機器は3つ。まず、標高など地表の地形データを読みとる高精度センサ「PRISM」は、高度700キロメートルもの高さからでも、民家や列車などを識別することができ、2万5000分の1の地図作成を可能とする地形データを収集できる。また、赤外放射計「AVNIR-2」は、首振り機能ですばやく観測地域を捉え、データの取得ができるため、災害発生時には被災地の状況を把握し地上に送信することができる。レーダー「PALSAR」は、厚い雲や暗闇など、天候、時間帯にかかわらず地表の様子を正確に観測できる。
「だいち」(ALOS)の運用が開始されれば、地図作成、地域観測データ、災害状況の把握、資源の探査など、有用な大容量データが、世界各地に設置されたデータ受信設備に送信されることになっている。