日本では25年ぶりの金環日食まであと1年
【2011年5月20日 アストロアーツ】
2012年5月21日の朝、日本の太平洋側を中心に金環日食が見られる。東京・名古屋・大阪などの都市部でリング状の太陽が見られるほか、金環帯以外の地域でも大きく欠けた様子を全国で観察することができる。
2012年5月21日の金環日食まで、いよいよあと1年とせまった。
日食とは、地上のある地点から見て月が太陽の手前に重なることで太陽が欠けて見える現象をさす。2つの天体がちょうどぴったり重なるもののうち、月の見かけの大きさが大きいために太陽全体が隠れてしまうものを「皆既日食」、反対に月の見かけが小さいために太陽が完全に隠れずリング状に見えるものを「金環日食」と呼ぶ。2009年7月22日に日本や中国などで見られた「皆既日食」は大きな話題となったので記憶に新しいところだろう。
2009年の皆既日食は日本の陸地で46年ぶりに見られたが、来年の金環日食も日本では25年ぶりというやはり珍しい現象だ。2009年は奄美大島や屋久島といった限られた地域でのみ観察できたのに比べ、2012年金環日食は大阪・名古屋・東京といった大都市を含む広い範囲で見ることができる。
世界的に見ても今回の金環帯は、香港・台北に始まり、日本を経て太平洋を横断した後アメリカ西海岸を通ってテキサス州にいたるという、人口密集地域にかかっているのが特徴だ。有史以来世界の人口が増加しつづけていることを考え合わせると、「史上もっとも多くの人に見守られる金環日食」となるかもしれない。
日本での金環日食は、朝7時半前後に3〜5分間程度観測することができる(画像)。金環食が見られない地域でも、北海道から沖縄まで全国的に大きく欠けた部分日食が見られる。多くの人は通勤・通学の時間帯だが、自然の面白さに触れ、私達の地球が宇宙の中にあることを実感できるまたとないチャンスなのでぜひ目にしたい。特に子どもたちの観測機会確保に関しては、教育現場の配慮も一考に値する現象と言える。
2009年の皆既日食の際にも呼びかけられたように、太陽の光は人間の目に非常に有害であるため、専用の太陽観察用メガネを使用するなど細心の注意が必要となる。今後天文界では金環日食の情報を提供していくとともに、こうした安全事項についても強く呼びかけていく。当日晴れることを祈りながら、貴重な天文現象を安全に楽しむ準備を万端にしておこう。