オリオン座の星生成領域に酸素分子を発見
【2011年8月2日 NASA/ESA】
ESAの赤外線天文衛星「ハーシェル」による観測で、オリオン座の星生成領域に酸素分子が見つかった。星間空間で酸素分子が存在する確実な証拠が発見されたのは初めてのことだ。
酸素は私達のまわりの空気の約20%を占める、生命維持に欠かせない気体だ。宇宙全体では水素、ヘリウムに次いで3番目に多く存在する元素だが、星間空間では大質量星の周囲などにある原子が観測されただけで、分子(O2)は発見されていなかった。
2007年にスウェーデンのサブミリ波観測衛星「オーディン」が検出したかと思われたが、確認ができなかった。だが、オーディンなどの観測によって、酸素分子の量は予測よりもはるかに少ないということが判明した。理由のひとつとして、酸素原子は微粒子の周りに付着した水の氷粒の形で存在しているため分子としては見えないという説があげられていた。
もしそうであれば、温度が比較的高い場所なら氷粒が蒸発し、酸素原子ができてそこから酸素分子が作られるはずだ。そこでヨーロッパ宇宙機関(ESA)のPaul Goldsmith氏らは、赤外線天文衛星「ハーシェル」でオリオン座の星生成領域を観測した。この領域は、鳥が羽をひろげたような形のオリオン座大星雲の胸の部分にあり、ガスとダスト(塵)が濃く集まっている。
そして、酸素分子が存在する確実な証拠を初めて発見することができたのだ。その割合は、水素分子100万個に対して酸素分子1個と極端に少ないものである。
研究チームでは今後、他の星生成領域も観測し、酸素分子の存在やその条件を探っていくという。