火星有人探査のシミュレーション実験「Mars500」が終了

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【2011年11月7日 ESA

11月4日、ロシアで行われていた火星有人探査シミュレーション計画「Mars500」が終了し、6名の多国籍メンバーは520日間にわたる閉鎖生活から地上に「帰還」した。


「Mars500」の実験参加者たち

実験を終え模擬の宇宙船から出てきた「Mars500」の実験参加者たち。クリックで拡大(提供:ESA)

実験施設内での朝食の様子

実験施設内での朝食の様子(提供:ESA/Mars500 crew)

「Mars500」は、火星有人探査のような長期ミッションにおいて宇宙船での閉鎖的な共同生活がクルー達に与える精神的な影響を調査するプロジェクトだ。ロシアから3人、フランス、イタリア、中国からそれぞれ1人ずつ計6人の男性がボランティアとして参加した。

2010年6月3日の仮想上の「打ち上げ」後、6人はモスクワにあるロシア科学アカデミー生物医学問題研究所の施設内に作られた模擬の宇宙船に隔離され、仮想スケジュールにしたがって行動する生活を送っていた。地上の管制との交信タイムラグも忠実にシミュレーションされた。

火星までの飛行、着陸、そして帰還して地球に到着するまでの間、長期ミッションにおける問題発生を想定した100件以上もの実験を行ったが、6人は規律正しく協力しながら困難を乗り越えたという。

11月4日午後2時(現地時間。日本時間同日午後7時)、宇宙船のハッチが開き、6人は元気な様子で久しぶりの外界の空気を味わった。

参加メンバーの一人Romain Charles氏は、「520日間の不動の旅を経て、他国の仲間とともに火星への有人飛行が可能であることを示すことができて誇りに思います」「将来の火星有人計画に活かせる多くの貴重な経験をすることができました」とコメントしている。

参加メンバーはまず家族や親しい知人に面会し、心身両面での綿密なチェックを受ける。今月8日にはモスクワで記者会見を行った後、実験の報告やテストなど最終的なデータを得る作業が12月初めまで続く。