大彗星となったラヴジョイ
【2011年12月26日 NASA/ヨーロッパ南天天文台】
11月27日に発見され、12月16日に近日点を通過したラヴジョイ彗星(C/2011 W3)が、南半球で大彗星として観測されている。残念ながら日本から見るのは難しいが、ヨーロッパ南天天文台や国際宇宙ステーションなどから撮影された画像を紹介しよう。
12月16日に近日点を通過したラヴジョイ(C/2011 W3)彗星は、先月末にオーストラリアのテリー・ラヴジョイ(Terry Lovejoy)氏が発見したクロイツ群彗星だ。
多くの彗星の中で軌道要素がよく似たものは「群」としてまとめられ、そのうち太陽をかすめるようにして近日点を通過するグループのひとつを「クロイツ群」と呼ぶ。明るく、しかも長い尾を伸ばす大彗星が多いのが特徴で、1965年の池谷・関彗星(C/1965 S1)などが有名な例だ。
ラヴジョイ彗星(C/2011 W3)は小ぶりであるため、太陽接近時に消滅してしまうと思われていた。しかし予想は嬉しいほうに外れ、近日点を通過しても消滅することはなく、肉眼でも見えるほどの長い尾を引いた大彗星となった。日本で直接見るのは難しいが、南半球では夜明け頃に肉眼でも観察することができる。
チリのパラナル天文台で三日月や天の川と共演するラヴジョイ彗星(画像1枚目)を撮影したGabriel Brammer氏はそのときの様子をこう語っている。「ラヴジョイ彗星は肉眼で簡単に見ることができた。まるで長時間露出した写真を見ているように、肉眼で見ることができたのは本当に驚きだったよ。」
ラヴジョイ彗星は地上からだけでなく、宇宙からもその様子が撮影されている。12月21日、国際宇宙ステーション(ISS)からもラヴジョイ彗星が観察された(画像2枚目)。夜側から昼側へとISSが移動していく際にラヴジョイ彗星が現れる様子が動画として撮影されている。
また、アストロアーツにもラヴジョイ彗星の画像が投稿されており、投稿画像ギャラリーで見ることができる。
ラヴジョイ彗星はこのまま楕円軌道で太陽系の遠方まで飛んで行き、何もなければ次に地球に戻ってくるのは314年後になると予想されている。