小さな銀河に太陽170億個分のブラックホール
【2012年12月6日 Nature/McDonald Observatory】
2億光年かなたの小さな銀河の中に、太陽170億個分もの超大質量ブラックホールが見つかった。ブラックホールと銀河の進化の関連について、新たな理解をもたらすかもしれない。
太陽170億個分(誤差30億)という超大質量ブラックホールが見つかったのは、ペルセウス座方向の2億2000万光年かなたにある銀河NGC 1277だ。天の川銀河の4分の1の直径しかない小さな銀河だが、その中心にあるブラックホールの質量は銀河中心バルジ(丸いふくらみの部分)の59%(銀河全体の14%)を占める。これまで観測された70例ではおよそ0.1%だったのだから、銀河と比してどれだけ桁外れに重いかがわかるだろう。
ブラックホールと銀河はともに成長するというのが従来の一般的な考えだった。大量のガスが新しい星を生みだすとともにブラックホールに供給され、ブラックホールがある程度大きくなると、ジェットが発生してガスを吹き飛ばし、ブラックホールの成長も銀河の生成も止まるというシナリオである。
だが今回発見されたブラックホールは大きすぎてこのシナリオに当てはまらない。
研究成果を発表したKarl Gebhardtさん(テキサス大学オースティン校)は今回の発見について「ブラックホールの質量は想像以上でした。大質量銀河のブラックホールは、今回のものとは異なる物理過程で成長しているように思えます」と述べている。
研究に利用されているマクドナルド天文台のホビーエバリー望遠鏡では、これまでに約700個の銀河を調査してきた。今後も大質量銀河の調査を継続し、ブラックホールと銀河の進化の関連性を探っていくという。