ダークマター候補「WIMP」の兆候を検出

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【2013年4月16日 テキサスA&M大学

米大学などの国際研究チームが、宇宙全体の約4分の1を占めるとされる謎の物質「ダークマター」の兆候を99.8%の確率で検出したと発表した。


ダークマターは、質量として存在し重力的な影響を及ぼすものの電磁波では直接観測できない、正体不明の物質だ。国際研究プロジェクト「CDMS」(極低温ダークマター探索)では、地下に設置された極低温装置で、ダークマターの候補の一つであるWIMP(弱い相互作用しか及ぼさない粒子)が検出器の結晶の原子にぶつかったときにわずかに揺れ動く「反跳」と呼ばれる現象の検出を目指してきた。

以前米ミネソタ州に設置されていた検出器「CDMS-II」のデータ解析を進めたところ、軽量な(15GeV/C2以下)WIMPに対して感度の高いシリコンでこの反跳と思われる事象が3個見つかった。

プロジェクトメンバーのRupak Mahapatraさん(米テキサスA&M大学)は「とてもエキサイティングな成果ではあるが、まだ信頼性がじゅうぶんではない」という。今回検出した事象の数は「偶然ではないかもしれない兆候がある」というレベルで、「発見」の域には達していない()。今後さらにデータを集めて研究を進め、検出の確実性を現時点の99.8%から99.9999%にまで引き上げることを目指す。

注:「有意性レベル」 有意性(偶然ではないこと)を示す指標でいうと、今回の検出は3σ(シグマ)レベルとされる。一例として、2012年7月の「ヒッグス粒子(とみられる新粒子)発見」暫定発表は5σの有意性だった。