近づくアイソン彗星、コマ内部の構造も見えてきた
【2013年5月22日 Universe Today】
11月末から12月に明るくなると期待されているアイソン彗星(C/2012 S1)は現在、木星軌道より内側まで太陽に近づいてきた。いかにも彗星らしい姿やコマ内部の構造など、宇宙と地上の天体望遠鏡でその詳細がじょじょに明らかになっている。
11月29日に太陽最接近を迎えるアイソン彗星(C/2012 S1)は5月下旬現在、木星軌道の内側、太陽からおよそ5億kmあまりのところまで近づいてきている。
画像1枚目は、4月10日にハッブル宇宙望遠鏡が太陽から6億2000万kmの距離にあったアイソン彗星を撮影したものだ。初めてとらえられた彗星らしい姿から、核が4〜6km以下と小さい割には活動が激しいことがうかがえる。核の周囲のコマは5000kmの大きさに広がり、ダストテイル(塵の尾)は9万2000kmにまで伸びていた。
この観測では、核の太陽に近い側から噴出する塵のジェットによるものと思われる構造がコマ内部にとらえられていた。5月上旬に地上の天体望遠鏡で撮像された画像(画像2枚目)でも、同じものとみられる模様が数日間でじょじょに変化するようすがわかる。
観測研究を行っているNalin Samarasinhaさん(惑星科学研究所)によれば、これは太陽光圧で塵粒子が尾の方(太陽の反対側)に押しやられているものと考えられる。今後アイソン彗星がさらに接近してくれば、もっと詳しいことがわかるかもしれない。