肉眼でも見える? 来年暮れに期待の新彗星「アイソン」

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【2012年9月26日 Universe Today

来春注目の「パンスターズ彗星」に続き、2013年暮れに日本からも肉眼で見えると期待される新たな彗星が見つかった。


アイソン彗星

米ニューメキシコ州のRAS天文台でとらえたアイソン彗星(黄色い印の箇所)。撮影を行ったErnesto Guidoさん(伊・レマンツァッコ天文台)らは、「2013年11月から2014年1月にかけて肉眼で見えるでしょう。11月下旬にはマイナス等級に達するかも」と予想している。クリックで拡大(提供:E.Guido, G.Sostero, N.Howes)

2012年9月26日のアイソン彗星の位置

2012年9月26日時点での、太陽系内でのアイソン彗星の位置。水色が彗星軌道。クリックで拡大。NASA太陽系小天体サイトで予想軌道アニメーションを見ることができる(提供:JPL)

2013年の終盤に太陽のすぐそばをかすめ、日本からも肉眼で見える可能性のある彗星が新たに見つかった。この彗星は、国際科学光学ネットワーク(ISON)のロシアチーム、Vitali NevskiさんとArtyom Novichonokさんが21日に発見したもので、「C/2012 S1 (ISON)」と符号が付けられている。

このアイソン彗星は現在、木星軌道周辺から太陽・地球付近に向かっている途上で、ふたご座とかに座の間に位置している。未明には地平線上に出ているが、18等級とまだ暗いので観察するには本格的な望遠鏡が必要だ。

予測軌道によれば、2013年春になると冬の星座とともに地上の視界から消え、2013年9月〜10月に再びかに座やしし座とともに姿を現す。近日点(彗星が太陽に最も近づく点)を通過する11月28日前後にはさそり座まで南下して、日本からは見えなくなる。アイソン彗星は太陽のすぐそばをかすめる「サングレイザー彗星」で、太陽中心から約190万kmまで大接近するため、彗星が蒸発せずに近日点を通過できるかどうかが気になるところだ(参考:太陽直径=約140万km)。

昨年12月のラブジョイ(C/2011 W3)彗星はわずか80万kmの近日点距離ながら、大方の予想を翻して太陽の向こう側から“生還”した。同様にもしアイソン彗星が生き残れれば、12月にはへび座(頭)の位置で、見事な大彗星として日本の夜明け前の空に現れることが期待される。

来年期待の彗星といえば、「パンスターズ彗星」(C/2011 L4 PanSTARRS)も3月9日に近日点を通過し、日本からは4月の未明の空で目にするチャンスがある。

2013年は「彗星の当たり年」となるかどうか、今から注目したい。

月刊「星ナビ」「Observer's Navi」コーナーでは、彗星その他の新天体の最新情報を紹介しています。


アイソン彗星の位置

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」でアイソン彗星を表示し、位置を確認できます。

  1. ステラナビゲータの「ツール」メニューから「データ更新」を行う
  2. 検索バーに「アイソン」と入力し、ドロップダウンリストから「アイソン [彗星 C/2012 S1]」を選ぶ
  3. 検索バー横の「天体を中央」ボタンをクリック

彗星表示に関する各種設定は、「天体」メニュー→「彗星」ダイアログから行えます。

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