わずか10年で眠りについたブラックホール

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【2013年6月13日 NASA

10年前に周囲のガス物質を旺盛に食べている様子が観測されていた巨大質量ブラックホールが、最近は大人しく眠っていることが観測から明らかになった。


ちょうこくしつ座銀河

ちょうこくしつ座銀河NGC 253。オレンジ色の斑紋の部分が「ニュースター」がとらえた高エネルギーX線源。中心部近くの青っぽい光点は「ニュースター」で見つかった超高光度X線源(ULX)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/JHU)

1300万光年彼方にあり激しい星形成活動が見られる、ちょうこくしつ座銀河(NGC 253)の中心には、太陽の500万倍の超大質量ブラックホールがある。2003年にX線天文衛星「チャンドラ」が、ブラックホールに吸い込まれていく物質が1000万度にまで熱せられ放射するX線を検出することで発見したものだ。

ところが2012年に、別のX線衛星「ニュースター」がチャンドラと同時観測を行ったところ、ブラックホールにはすでに物質が降着してない、つまりブラックホールは眠りについていることがわかった。

「ブラックホールは周囲の降着円盤から物質を吸い込み、食べ物がなくなったら眠りにつきます。ですがこの銀河の中心にあるブラックホールの場合は、周囲で活発に星が作られている最中なのに眠ってしまったという珍しいケースなのです」(発表者の1人、NASAのAnn Hornschemeierさん)。

10年前に観測されたX線はブラックホールではなく別のものだったという可能性も残っており、チャンドラとニュースターの今後の観測で確かめられるだろう。ブラックホールが再び目覚めるということもあるかもしれない。