惑星が生まれる円盤からふわりと浮いた塵の層を観測

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【2013年8月26日 すばる望遠鏡

470光年彼方の若い星で、惑星誕生の場となる塵とガスの円盤をふわりと包み込むような塵の層が観測された。原始惑星系円盤の立体構造がここまで詳細に明らかにされたのは世界初となる。


おうし座RY星と周囲の円盤

おうし座RY星と周囲の円盤のイラスト図。クリックで拡大(提供:国立天文台。以下同)

おうし座RY星周囲の円盤と塵の層

おうし座RY星を取り囲む塵粒子の赤外線観測画像(左)と、その模式図(右)。観測画像の白い点線がRY星を中心とした円盤面で、塵粒子の分布(赤と緑)が少し上方にずれているのがわかる。クリックで拡大

470光年彼方のおうし座RY星(以下RY星)は、重さが太陽の2倍、生まれてから50万年という若い恒星だ。その周囲には塵とガスの円盤構造(原始惑星系円盤)があり、これまでの電波による観測などから、この円盤の中で惑星が成長しつつある可能性が議論されてきた。

台湾中央研究院の高見道弘さんらの研究チームが、惑星・円盤探査用赤外線カメラ「HiCIAO(ハイチャオ)」を搭載したすばる望遠鏡でRY星の周りの円盤を観測。中心星からの赤外線が、地球のような岩石惑星の主材料となる塵粒子を照らすようすをとらえることで、塵粒子の分布を見ることができる。

観測とコンピュータシミュレーションの結果、円盤面から少し浮いた薄い塵の層があることがわかった。これはRY星が比較的若い星であるために、まだ円盤面に降り積もらずに上層部に残ったものとみられる。

「散乱層の光や赤外線は円盤を暖めるはず。このことが、円盤内でどのような惑星系が生まれるかを左右するかもしれない」と高見さんたちは考えている。

こうした塵粒子をとらえる赤外線観測、そしてさらに円盤の奥深くを電波で見通すアルマ望遠鏡を組み合わせることで、惑星系の多様性の謎に迫ることが期待される。