「重いほど自転が速い」傾向、系外惑星にも
【2014年5月1日 ヨーロッパ南天天文台】
地球の3000倍の重さを持つ系外惑星「がか座β星b」が、8時間周期で自転していることが直接観測からわかった。重い惑星ほど自転が速いという太陽系内での傾向が系外惑星にも当てはまることを例示している。
63光年彼方の4等星がか座β星には、地球の16倍の大きさ、3000倍の重さを持つ大型惑星が6年前に発見されている。多くの系外惑星の観測は主星の光から探る間接的なものだが、このがか座β星bは直接その姿がとらえられた最初の系外惑星のひとつでもある。
Ignas Snellenさんらオランダの研究チームでは、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)を用いてこの惑星の自転速度を調べた。天体が自転すると、見えている面の半分は観測者から遠ざかり、もう一方は近づく。この動きによる波長の変化(ドップラーシフト)を分光観測でとらえたのだ。もちろん、主星からの光もていねいに差し引いた。
観測の結果、惑星の自転周期は8時間で、赤道領域は時速10万kmで動いていることがわかった。地球は時速1700km、木星は47000kmであるのに比べるとひじょうに高速だ。太陽系の惑星は重いほど自転が速い傾向があるが、がか座β星bもそれに当てはまることがわかる(画像2枚目)。研究チームではこれを普遍的な関連性と見ている。
数十億年の歴史を持つ太陽系の惑星に比べ、がか座β星bは形成から2000万年というとても若い天体だ。時とともに冷えて縮むと、さらに自転が速まると考えられる。こうした時の経過以外にも自転速度を変化させるさまざまな要因(注)が存在するが、その詳細は確実にはわかっていない。
研究者らは今後多数の系外惑星を同様の手法で調べ、さらに惑星表面の球面マップを作ることまでも視野に入れている。
注:「自転速度を変える要因」 一例として、地球は月の潮汐作用により少しずつ自転速度が遅くなっている。