5700京電子ボルト以上の超高エネルギー宇宙線ホットスポット
【2014年7月14日 東京大学宇宙線研究所】
東京大学宇宙線研究所などの国際研究グループの観測により、超高エネルギー宇宙線がおおぐま座付近の方向から集中して飛来する傾向が見つかった。
米・ユタ州のTelescope Array宇宙線観測装置で、5.7×1019eV(5700京電子ボルト)以上の超高エネルギー宇宙線が集中的に飛来するホットスポットの兆候が、初めて北半球の空でとらえた。
東京大学宇宙線研究所などの国際研究グループによるこの観測は、地球の大気に飛び込んできた宇宙線から副次的に発生し降り注ぐ大量の低エネルギー粒子(空気シャワー)を地表の装置で検出するものだ(2枚目の画像)。
2008年から5年間でとらえられた超高エネルギー宇宙線72事象のうち19事象が、おおぐま座周辺の直径約40度の領域で生じていた。北半球の空全体の6%にしかすぎない範囲に偶然このように集中する確率はわずか10万分の37だ。
これほどの高エネルギーの宇宙線は、ビッグバンの名残である宇宙背景放射の光子にじゃまされると理論的に予測されており(GZK効果)、1.5億光年以上彼方から地球に到達するとは考えにくい。またホットスポットの位置は、天の川銀河を含む超銀河面に近い。以上のことから、このホットスポットは、近傍の宇宙の物質構造やすぐ近くの銀河団などの磁場の影響で生じている可能性があるという。
今後研究チームでは超高エネルギー宇宙線の観測例をさらに増やし、これら宇宙線の発生源となるような宇宙の極高エネルギー現象との関連を明らかにしていく予定だ。