晩夏に見ごろの2彗星 ウカイムデンとパンスターズ
【2014年8月20日 アストロアーツ】
8月下旬から9月にかけて、ウカイムデン彗星とパンスターズ彗星が明け方の空で見ごろとなる。6等級まで明るくなると予測されるので、増光していくようすを追ってみよう。
明け方の空で増光中のウカイムデン彗星
ウカイムデン彗星(C/2013 V5)は、2013年11月12日(世界時)にMichel Oryさんがモロッコ・ウカイムデン天文台で発見した彗星だ。発見の時点では19等の小彗星だったが少しずつ太陽に接近して、いったん西の空に沈んで2014年7月下旬に明け方の空に出現した時には11等級まで明るくなっていた。
2014年8月現在、9月28日の近日点通過に向けて太陽にも地球にも接近中で、明け方の空でぐんぐん明るさを増している。8月に入ると10等級で観測されており、9月初めには6等級まで増光すると予測されているので、小口径の望遠鏡での観望や撮影の対象として楽しめるだろう。
夜明け前の東の低空で見られ、8月下旬から9月下旬までいっかくじゅう座を通過する。8月22日前後にバラ星雲と大接近し、9月3日ごろには散開星団M50と並ぶ。8月26日ごろに観測条件がもっとも良くなり、日の出1時間前の高度は約25度。その後は南東の空へ移動しながら急速に低くなっていくので、チャンスを逃さず狙ってみよう。
入れ替わりで登場するパンスターズ彗星
8月27日に近日点を通過するパンスターズ彗星(C/2012 K1)が、9月上旬にはウカイムデン彗星と入れ替わるように明け方の空に現われる。
月明かりの影響を受けない初観望のチャンスは、うみへび座頭部をかすめる9月8日から10日ごろ。それ以降は少しずつ高度を上げながら南へと移動し、9月下旬には散開星団M48の南を通過する。このころは月明かりもなく好条件で観望することができる。明るさは6等台後半になって、小型双眼鏡の射程内だ。
(※)パンスターズ彗星については、「星ナビ」8月号付録「夏の天文現象ハンドブック」および9月号「9月の注目」より抜粋・再構成。