21年ごしで直接検出、超新星の正体を明かすかつてのパートナー
【2014年9月10日 HubbleSite】
1993年に出現した明るい超新星のそばに、理論上予測されていた伴星が見つかった。IIb型と呼ばれる珍しい超新星の爆発メカニズムを解き明かす、初めての決定的証拠となる。
米・カリフォルニア大学バークレー校のOri Foxさんらが、おおぐま座の銀河M81に出現した超新星の跡に、爆発前の天体の伴星を見つけた。ハッブル宇宙望遠鏡で紫外線観測を行い、地上の望遠鏡での可視光データを合成したところ、予測されていた伴星の連続スペクトルと一致したのだ。
1993年3月に出現した超新星1993Jは、10等という明るさや1100万光年という距離の近さも記録的だったが、超新星の性質そのものも、「IIb型超新星」というタイプに分類されるとてもまれなものだった。
超新星は、爆発後に観測される光の分析や明るさの変化などからいくつかのタイプに分類される。こうした違いは、爆発前の天体の性質や爆発に至るプロセスにより生まれると考えられている。
IIb型超新星は、元の天体が単独星の場合に見られるものと、パートナーがある場合に見られるものとの両方の性質を持つが、水素が少ないことが特徴の1つだ。このことから、「爆発前の天体が伴星によって外層の水素を大量に奪い取られている」というモデルが提唱されてきた。このモデルを裏付ける証拠として、超新星1993Jの伴星の捜索が行われてきたが、超新星の残光に比べるとひじょうに暗く、確実な証拠は見つかっていなかった。