太陽系の過去を見せる、90光年彼方の若い星の塵円盤

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90光年彼方の若い星を取り囲む塵の円盤外縁部に、小天体が衝突した痕跡とみられる塵が濃く集まっているようすが観測された。太陽系のような惑星系の形成過程についての理論予測を裏付ける成果だ。

【2014年12月16日 アルマ望遠鏡

米国ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのルカ・リッチさんらが、およそ1億歳の若い星HD 107146を取り巻く「デブリ(残骸)円盤」をアルマ望遠鏡で観測した。かみのけ座の方向90光年彼方という近距離にあるこの星は、太陽系の若いころに似ているのではないかと考えられており、惑星系の形成期から安定して成熟した段階への進化途中にあるという点でも注目される天体である。

HD 107146の周囲のデブリ円盤の想像図
HD 107146の周囲のデブリ円盤。冥王星サイズの天体が周囲の小さい天体と衝突し、塵をまき散らしている(提供:A. Angelich (NRAO/AUI/NSF))

観測の結果、中心星から130億km(太陽~海王星の距離の約3倍)という円盤の外縁部に、ミリメートルサイズの塵が大量に存在していることがわかった。研究グループはこの塵について、小さな天体が衝突して冥王星サイズの天体(微惑星)が作られる際にまき散らされたものではないかと考えている。惑星系の形成期から安定した段階への途上にある星のデブリ円盤はその外縁部に塵が濃集するという理論予測があり、観測はその通りのものだ。

HD 107146のまわりの塵は外縁部に行くほど濃くなっているが、もっと若い星のまわりでは、星に近い内側のほうが塵が濃いという。「HD 107146では、星に近いあたりでは惑星形成はほぼ完了しているのでしょう。一方、外縁部では今まさに天体が衝突・合体を繰り返して微惑星が形成されつつあるのだと思います」とリッチさんは話している。

さらに円盤の中には塵が少ない領域が幅12億kmにわたって広がっており、地球程度の大きさの惑星が周囲の塵を掃き集めて作られたのではないかと考えられる。地球型惑星の形成過程を考えるうえでも重要な発見だ。

アルマ望遠鏡が観測したHD 107146の周囲のデブリ円盤
アルマ望遠鏡が観測したHD 107146の周囲のデブリ円盤。中心に星があり(この画像には写っていない)、そのまわりを取り巻く塵の分布が写し出されている。円盤の中ほどには塵が少ない領域があり、惑星の存在が推測される(提供:L. Ricci ALMA (NRAO/NAOJ/ESO); B. Saxton (NRAO/AUI/NSF))

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