室内における授業のようす

学校における活用事例 小学校4年 理科・体験学習「星の動き」

小林 道正 先生 (東京学芸大学附属小金井小学校 副校長)

単元のねらい

4年生1学期の6月には3泊4日の校外宿泊生活を体験する。そこでは山荘の屋上で、夕方から就寝するまでの時間を使い、じっくりと星空を見上げて春の星座を探し観察する。さらに3学期には、自宅の近くで冬の星座を探し観察する。これらの体験学習を通して、宇宙の神秘性を感じるとともに、星の明るさや色には違いがあることや動きについて進んで調べることができるようにする。

授業の展開

学習の流れ
1
春の星座
1 ステラナビゲータで春の星座の探し方を調べる。
2 山荘の屋上で実際の星空を観察し「春の大曲線」をもとにしておおぐま座と北斗七星・うしかい座のアルクトゥルス・乙女座のスピカを探し観察カードを作成する。
2
冬の星座
1 ステラナビゲータで「冬の大三角」の探し方を調べる。
1 自宅の近くで「冬の大三角」を探しオリオン座の動きを観察する。
2 観察したことをもとにして学級で話し合いステラナビゲータを使ってまとめる。

授業の実践と児童の反応

ステラナビゲータは、小学生の超ビギナーが星座の見つけ方を学習することから、マニアが天体望遠鏡をコントロールしながら観測することまでの機能をもった奥の深いコンピュータソフトである。さらにステラナビゲータはプロジェクターと併用することによって、理科の授業をサポートしてくれる。学校の教室が、科学館のプラネタリウムのように美しい星空を映し出し、子どもの興味関心を引きつけながら星の学習を展開することができる。そんな優れものである。

星の学習は「教室で星空が見られないから」「星のことはあまり詳しくないから」という理由で、指導しにくい単元の一つとして敬遠されているようだ。しかしステラナビゲータを使えば、星空の美しさに魅せられ、子どもと一緒に星や星座を見つけるのが楽しくなってくる。

1学期の6月に実施された校外宿泊生活では、春の星座を観察する体験学習を行った。その様子を下記に紹介する。これはステラナビゲータが自動解説してくれる「春の星座」という番組とほぼ同じような流れで観察を行ったものである。

先生
一番明るい星はどこにありますか?
児童
あそこ!あれが一番明るいよ。一番星だね。1等星だよ。
先生
あの星は木星です。太陽の周りを回っている惑星だよ。次に明るいのはどれ?
児童
頭のてっぺんにある星だ。木星の左下も明るいけどてっぺんの方が明るいよ。
先生
頭の真上はうしかい座のアルクトゥルス。木星の左下は乙女座のスピカだよ。1等星だ。
児童
1等星だけど、どれも微妙に明るさが違うね。色も違うよ。アルクトゥルスはオレンジ色だ。スピカは白ぽいと思う。青っぽく見える気がするな。
先生
北斗七星の柄を伸ばして、アルクトゥルスを通ってスピカまでの線が春の大曲線というよ。
児童
北斗七星は7つの星でひしゃく型だね。7つとも暗い星だ。春の大三角も探そうよ。北極星も探してみよう。北極星が見えるのが北の方角だね。
先生
最後に天体望遠鏡を使って木星を観察しましょう。
児童
きれい!縞模様が2本見える。小さい星が一直線に並んでるよ。木星の衛星だよ。4個あるよ。

3学期のオリオン座の動きの観察については、子どもと一緒にパソコンを操作し、観察の場所や日時を入力して1月の星空を再現してみた。東の空、南の空、西の空に見られる星の様子が、実際の空と同じように見ることができてたいへん分かりやすい。子ども達は、自宅に帰ってからも「冬の大三角」を見つけ出すことに自信を持っていた。当然のことであるが、子ども達のオリオン座の観察は、方角と高さを正確に記録し、形の傾きについても詳しく観察することができた。その後の星の動きについてのまとめについても、ステラナビゲータを使って意欲的に行うことができたのは言うまでもないことである。

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