2004年6月8日 金星の日面通過 〜122年ぶりの現象を見逃すな!〜
6月8日の昼過ぎから日没まで、金星が太陽面の上を動いていく「金星の日面通過」が見られます。金星の日面通過が見られるのは1882年12月以来122年ぶりのことで、日本から見えるものに限れば130年ぶりの現象という、たいへん珍しい現象です(次回は2012年6月6日)。平日のお昼ですが、ぜひ時間を見つけて観察しておきましょう。
(注意)日面通過の観察は太陽の観察とほとんど同じことですので、減光方法などに注意が必要です。「観察の際の注意」などを参考に、日面通過を安全に観察しましょう。
投稿画像ギャラリー
皆様からご投稿いただいた画像をギャラリーとして公開しています(ニュースの投稿画像集のページへリンクしています)。
見え方
図は、金星が太陽面上を動いていくようすを30分ごとに表したものです。14時11分ごろから太陽面に入り始め20時過ぎまでかけて移動していきますが、横切ってしまう前に日没となります(もちろん金星も沈みます)。詳しい時刻についてはタイムテーブルをご参照ください。
金星の視直径は57.8秒角で、太陽面のおよそ33分の1の大きさに見えます。これは、地球から見る惑星の姿としてはもっとも大きいものです。ひょっとすると肉眼でも見ることができるかもしれません。
日面通過の大きな見どころの1つは、金星が太陽面の縁に重なる瞬間です。特に重なり始め(第1接触)の瞬間を見逃さないように、太陽像の方向や方角を事前にしっかり確かめておきましょう。また、金星が太陽面に入りきった時(第2接触)には、太陽の縁と金星がつながったように見える「ブラックドロップ」と呼ばれる現象が見られるかもしれません。こちらにも注目してみてください。
札幌、東京、福岡での太陽の高度
それぞれ、クリックで拡大して表示します。
タイムテーブル
各地の現象の時刻は以下のとおりです(データ提供:国立天文台 相馬充氏)。
地名 | 第1接触 | 第2接触 | 金星没 |
---|---|---|---|
札幌 | 14時11分55秒 | 14時31分07秒 | 19時09.1分 |
青森 | 14時11分44秒 | 14時30分54秒 | 19時04.1分 |
仙台 | 14時11分29秒 | 14時30分37秒 | 18時55.8分 |
東京 | 14時11分19秒 | 14時30分24秒 | 18時52.9分 |
名古屋 | 14時11分27秒 | 14時30分31秒 | 19時02.9分 |
地名 | 第1接触 | 第2接触 | 金星没 |
---|---|---|---|
京都 | 14時11分31秒 | 14時30分34秒 | 19時07.1分 |
広島 | 14時11分41秒 | 14時30分43秒 | 19時18.6分 |
福岡 | 14時11分46秒 | 14時30分46秒 | 19時24.7分 |
鹿児島 | 14時11分35秒 | 14時30分34秒 | 19時19.2分 |
那覇 | 14時11分24秒 | 14時30分18秒 | 19時18.4分 |
観察の際の注意
日面通過の観察は太陽を観察するのとほとんど同じことです。一つ間違えると失明する危険性もありますので、じゅうぶんに注意しましょう。
もっとも安全で簡単な方法は、望遠鏡に太陽投影板(自作も可能)を取り付けて投影することです。この方法だと一度に数人が観察することもできます。
望遠鏡に太陽を導入する際には、望遠鏡の影をたよりにします。
望遠鏡を覗いて観察する場合は、金属蒸着シートなどで減光します。観察中に外れたり隙間ができたりすることのないように注意してください。
かつて使われていた太陽観察用のサングラスは、割れる危険性があったり目に有害な赤外線を透過したりするので、使わないようにしましょう。また、撮影用のNDフィルタも赤外線を通すので、観察には使わないでください。
望遠鏡を使わずに観察する場合にも減光の方法に注意してください。黒い下敷きやサングラス、撮影用のNDフィルタ、カラーフィルムの黒い切れ端などは、いずれも赤外線を通すので、観察には使わないようにしましょう。
インターネット中継
各地の天文台などが日面通過のようすをインターネットで中継します。あいにく曇ってしまったら、ネット中継で楽しみましょう。
中継を予定しているサイト
情報提供:星の子館
- LIVE! UNIVERSE
- インターネット天文台
- 北海道 名寄市立木原天文台
- 宮城県 仙台市天文台
- 東京都 国立天文台
- 神奈川県 横浜こども科学館
- 山梨県 県立科学館
- 愛知県 名古屋市科学館
- 富山県 富山市天文台
- 石川県 柳田星の観察館「満天星」
- 京都府 綾部市天文館
- 和歌山県 かわべ天文公園
- 和歌山県 みさと天文台
- 兵庫県 星の子館
- 兵庫県 西はりま天文台
- 岡山県 倉敷科学センター
- 山口県 防府市青少年科学館
- 徳島県 那賀川町科学センター
- 熊本県 南阿蘇ルナ天文台
- 長崎県 長崎市科学館
- 佐賀県 県立宇宙科学館
このほか、星の子館の中継リンクページでは海外のサイトも含めた最新の情報を紹介しています。
関連リンク
- 月刊星ナビ 2004年6月号
- 星ナビ2004年6月号で、金星の日面通過についてさらに詳しく解説しています。「ステラで再現」ではステラナビゲータ Ver.6で日面通過をシミュレーションする方法を紹介。また、1874年に日本で見られた日面通過の際に日本を訪れ、太陽・地球間の距離測定を行った海外観測隊にまつわる読み物も掲載しています。
- 金星の日面通過関連イベント情報(パオナビ)
- (公開は終了しました)
- 【特集】2003.05.07 水星日面通過
- 昨年5月に見られた水星の日面通過の特集です。