2007年 夏の星空三昧
太陽投影板を使った太陽観測
2 太陽の導入の仕方・注意点
太陽投影板をつけた望遠鏡を太陽に向けます。このときファインダを絶対に覗いて合わせてはいけません。ファインダは小さくとも望遠鏡です。太陽の光が強くなって目を痛め、時には失明する危険性もあります。天体望遠鏡を太陽観測専用に使うときは、ファインダにキャップをするか外しておきましょう。
太陽を導入するときは写真のように投影板の遮光板(黒い板)に映る望遠鏡の影を見ながら行います。望遠鏡のクランプを外してフリーにしてから見当をつけて太陽の方向に向けます。影が一番小さく丸くなったとき太陽が投影板に映るはずです。太陽が映ったらクランプをとめ、あとはモーターで太陽を追いかけます。
3 観測方法
観測時間はできれば大気が安定した午前中(9時頃)がいいのですが、学校などで観測を行う場合には昼休みの方が都合がいいでしょう。夕方になると気流が安定せず、太陽の高度が下がると見づらくなります。
まずクリップで投影板にスケッチ用紙を固定します(注1)。次に太陽像が用紙の円の大きさに合うように投影板を上下させます。太陽像をよく見て望遠鏡の接眼部を前後させてピントを合わせて、黒点や白斑をスケッチします。黒点の半暗部(うす暗いところ)も区別して記入します。このとき、太陽像の位置がスケッチ用紙の円とずれないように注意してください。力を入れて描くとずれてしまうので注意が必要です。
- (注1)
- あとで黒点の位置を測定するのであれば、用紙の方位を合わせて留めておきます。合わせ方はモーターを止めたとき、太陽が動いて行く方向が西になりますので、移動していく黒点を何点かマークしてそれらを結んで東西方向の線を描き、それにスケッチ用紙の東西方向が合うようにして留めます。このとき線を描くための白い紙を前もって投影板に貼っておくといいでしょう。
もし観測を2人で行う場合には、1人が望遠鏡のモーターをコントロールして太陽の位置を合わせましょう。細かい黒点や白斑、粒状斑を見るときには白い紙をスケッチ用紙の上に重ねて揺らすとよく見えます。白斑が見えるときはだいたいの形を描いておきます。粒状斑はスケッチせず、見え方を備考欄などに記入します(注2)。カメラ付き携帯電話やデジカメがあれば、投影板を写して記録することもできます。
- (注2)
- どの程度の見え方をしたのか記入しておくと、その日の気流状態の記録になり、目安になります。たとえば、全面見える、中心部のみ見える、ときどき見える、見えないなどです。ほかに、透明度(太陽像の明るさ)や視相(気流状態のよさ)もそれぞれ5段階で記録しておくといいでしょう。