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土星を見よう

天体と言えば、誰もが思い浮かべるのが環(リング)がある土星の姿ではないでしょうか。ところが、今年は環がとても細くて見えにくくなっています。実は、これは15年に1度の珍しい状態です。環が見えても見えなくても、貴重な体験と言えるかもしれません。

土星の環が消える?

環の傾きの変化(2008,2009,2010,2011)

環の傾きの変化。クリックで拡大
ステラナビゲータで作成)

さて、土星と言えば美しい環(リング)なのですが、この環が約15年ごとに消えてしまうことをご存じでしたか?

もちろん、環が物理的に消滅してしまうわけではなくて、見かけ上の変化です。土星の環は何万キロメートルもの幅がある一方、厚みはせいぜい数百メートルしかありません。そのため、ちょうど水平な方向から眺めれば、まるで環が消滅したかのように見えるのです。

地球から見た土星の傾きは、公転と同じ29.5年の周期で変化します。その間に2回、つまり約15年ごとに、環の消失は発生します。今度の消失は2009年8月11日と9月4日なので、環は相当細くなっています。

ちなみに、現在は環を南側から見上げている格好になりますが、9月4日を境に北側から見下ろすようになります。その後環の傾きは大きくなり、2017年にもっとも開いた状態となります。

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土星の位置

7月15日の土星の位置

7月15日午後8時の星空と土星の位置。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成)

8月11日の土星の位置

8月11日午後7時ごろ(日没30分後)の星空と土星の位置。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成)

今年の土星は春の星座・しし座の方向に見えています。

2回目の環消失を迎える9月は、ちょうど太陽がしし座の方向を通るため土星を見るのは困難です。1回目の消失となる8月11日は、かろうじて日没直後の西の空低い位置に見つけることができるはずです。

もちろん、8月11日や9月4日に限らず、今年は土星の環が細い状態が続くので、機会があればできるだけ性能のよい望遠鏡で観察してみましょう。串刺しのように環が細くなっていること自体、15年に1度の珍しい状態です。

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DVDではじめる 天体観察入門

これから天体観察を始める方には、ムック「DVDではじめる 天体観察入門」もおすすめです。天文の基礎知識や双眼鏡・天体望遠鏡の選び方、使い方をやさしく解説するとともに、月や惑星、星雲星団の観察方法をわかりやすく紹介。星座早見盤の使い方、双眼鏡、初心者向きの天体望遠鏡の使い方を紹介した映像を収録したDVDが付いています。

望遠鏡で観察しよう

土星の観察になくてはならないのが望遠鏡。なるべくシーイングがよい(大気のゆらぎが少ない)ときを選び、高めの倍率で見るのがポイントですが、実際の見え具合を決定するのは望遠鏡の口径です。アストロアーツオンラインショップではさまざまな望遠鏡をそろえているので、目的に合わせて選びましょう。

最小限の予算と手間で環を見る

Scopetech RAPTOR(ラプトル)50

環が確実に見える口径は、4〜5cm以上です。このクラスには「観測向け」と呼ばれる双眼鏡と簡易型望遠鏡がありますが、望遠鏡の中で人気を集めているのが「Scopetech RAPTOR(ラプトル)50」です。

屈折型望遠鏡と経緯台式架台の組み合わせはとても扱いやすく、子どもや気軽に楽しみたい方にはおすすめなのですが、ディスカウントストアなどで売っている製品の多くは安くて粗悪なのも事実。そんな中、RAPTORは望遠鏡専門店が「安価でも質のよいものを」というコンセプトで開発した定評ある一品です。

星を見た経験もほとんどないけど土星の環を一度見てみたい、という場合はこれを選びましょう。

カッシーニの空隙を見よう

ポルタII R130Sf

探査機の画像からは、一枚に思える土星の環が、実はたくさんのリングとすき間からできていることがわかります。地上の小さな望遠鏡では細かな構造をとらえられませんが、もっとも大きなすき間である「カッシーニの空隙(くうげき)」なら、10cm以上の望遠鏡で見ることができます。

ポルタII R130Sf」は口径13cmの反射式望遠鏡と経緯台式架台のセットで、高性能でありながら低価格を実現しています。土星とカッシーニの空隙はもちろん、ほかの惑星や星雲星団を楽しむにも十分な性能なので、趣味として天体観察を始める方におすすめです。

鏡筒を据えつけるポルタII経緯台は操作性が抜群。明るい土星なら、自動導入望遠鏡よりすばやく視野に入れることができるほどです。R130Sf以外にもさまざまな鏡筒とのセットが販売されています。

大口径で勝負

スカイエクスプローラー SE300D

口径20cm以上の望遠鏡ともなると、好条件の空で見た場合、土星本体の模様まではっきりしてきて、かなりの迫力を楽しめます。

肉眼での観察を前提に、口径の大きさを追求するなら「スカイエクスプローラー SE300D」。伸縮式の鏡筒なので観測地への移動に便利で、組み立ても容易でコストパフォーマンスは抜群です。すでに中クラスの望遠鏡を持っている方にとっても、30cmで見る土星は魅力的に違いありません。

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星ナビ別冊 望遠鏡カタログ2008-2009

星ナビ別冊 望遠鏡カタログ2008-2009」は8メーカー25機種の天体望遠鏡の試用レポートや、望遠鏡の基礎知識・選び方・買い方などをまとめたムックです。ほしい望遠鏡が、きっと見つかります。

撮影にチャレンジ

望遠鏡も持っていて、さらにステップアップしたい、という方は土星を画像として残すのはいかがでしょう。天体写真というと敷居が高そうですが、気軽に始められる撮影方法もあります。

手持ちのデジカメ・デジタルビデオカメラをつなぐ

デジタルビデオカメラと望遠鏡をつなぐシステム

デジタルビデオカメラの多くにはフィルタネジがついているので、これを利用して望遠鏡に接続するためのアダプタが市販されています。また、フィルタネジのないビデオカメラ、さらにはコンパクトデジカメでも、三脚取り付け用ネジを利用するミード社「デジタルカメラアダプターII」という手段があります。

注意したいのは、全体の安定感。カメラの重量が1kg以上だと、アダプタで支えきれない可能性があります。逆に、望遠鏡はある程度しっかりしたものが必要で、自動追尾機能も欲しいところです。

撮影時はオートフォーカスを使わずに、ピントを自分で調節するのがポイントです。デジカメなら、露出を試行錯誤しながら撮影することになるでしょう。ビデオカメラなら、1分程度撮影すると臨場感のある姿が楽しめます。また、デジタルの魅力は高感度だけではなく、パソコンに取り込めること。「ステライメージ」で画像処理してみるのはいかがでしょうか。

手軽ながらハイレベルを目指せるWebカム

ETX望遠鏡とDSI

安価ながら威力を発揮する撮影装置として注目されているのがWebカム(Webカメラ)です。惑星撮影を重視するなら、以下の記事で紹介しているミード社のETX望遠鏡とDeep Sky Imager(DSI)の組み合わせがもっとも始めやすいといえるでしょう。

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