土星を見よう(2012年)
2012年の春は、太陽がリングになる金環日食が大きな話題。でもリングと言えば、土星も忘れてはいけません。今年の土星は春から初夏にかけて見やすい時期が続くので、環を観察してみましょう。
土星の見つけ方
2012年の土星は、春の星座であるおとめ座の1等星・スピカに近づいています。まずはスピカを探しましょう。
スピカを見つけるときには「春の大曲線」や「春の大三角」を利用するのが簡単です。春の大曲線は、北の空でひしゃくの形に輝く北斗七星の取っ手側を伸ばした大きなカーブで、うしかい座のアルクトゥールス(オレンジ色の明るい星)とスピカを通ります。春の大三角はアルクトゥールスとスピカに加え、しし座の2等星デネボラを結んだ正三角形です。
こうしてスピカが見つかれば、そばに土星が並んでいます。明るい星が2つ並んでいる状態は、星空の中で比較的見つけやすいと言えるでしょう。ただ、どちらが土星でどちらがスピカか、見分けるのは難しいかもしれません。
土星とスピカを見分ける最大のポイントは色です。土星は黄色みを帯びていますが、スピカは白く輝く星です。位置関係は左の図のとおりで、おおむね土星がスピカよりも北寄りにあると言えるでしょう。2つの星が5度以内に接近している状態が数か月続き、双眼鏡の同じ視野で見られます。最接近は8月上旬です。
4月ごろには、もうひとつの「惑星+1等星」ペア、火星とレグルスが南寄りの高い空で見えています。火星は4月中旬ごろレグルスに最接近し、その後は東へ移動して8月中旬には土星+スピカに割って入ります。日没後(東京では午後7時以降)の西の空で、色が異なる3つの星が並ぶ光景は見ものでしょう。
※火星については特集「2012年 火星接近」もご覧ください。
環や衛星を見てみよう
土星の位置がわかったら、今度は天体望遠鏡で観察してみましょう。5cmクラスの小口径天体望遠鏡でも、環の存在を確認できるはずです。
環の傾き具合は約15年周期で変化します。2012年の土星はいかにも「土星らしい」姿をしていますが、2009年には地球から見て環が真横を向き、あたかも消えたかのように見える現象が起こりました。土星の傾きはこれからも大きくなり続け、最大となるのは2017年です。その後は傾きが小さくなり、2025年に再び環が消えてみるようになります。
土星の環は一枚板ではなく、無数の氷や岩石の粒でできています。そこにはいくつものすきまがあり、一番大きなものは発見した17世紀の天文学者にちなんで「カッシーニの間隙」と呼ばれています。環の傾きが大きければ、口径10cmの天体望遠鏡でも楽に見られますが、今年の傾きでは気候などの条件に左右されます。お近くの科学館などで大きめの天体望遠鏡をのぞく機会があれば、すきまを見つけられるか挑戦してみてください。
もうひとつ注目したいのは、土星の衛星です。木星のガリレオ衛星のような明るい衛星はありませんが、土星最大の衛星タイタンは8等級なので、天体望遠鏡を使えば見ることができます。双眼鏡でも見えるかもしれません。土星本体が明るいので、土星から離れているときを狙って観察するのがよいでしょう。
天体望遠鏡の口径が大きくなれば、レアやテチスなど10等級前後の衛星も見えてきます。衛星の位置は数時間で変化するので、事前に「ステラナビゲータ」でシミュレーションして見え方を確認しておきましょう。
- 「ステラナビゲータ」製品情報ページ
「ステラナビゲータ」は、あらゆる天文現象を正確にシミュレーションできるWindows用天文ソフトです。日時や観測場所に応じて土星の動きや見える位置を確かめたり、環の傾きや衛星の動きを調べたりすることもできます。
土星関連グッズ:望遠鏡やムックなど
土星の場所も環の見え方もわかったら、いよいよ実際に観察してみましょう。自分の天体望遠鏡で好きなときに土星を見てみたいと思ったら、アストロアーツのオンラインショップを覗いてみてください。目的や予算に応じて、さまざまな機種をラインアップしています。
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