2014年 火星接近
約2年2か月ごとに地球に接近する火星は、4月14日に最接近となります。
2012年の小接近に続き今年は準小接近とも呼ぶべき接近ですが、春の夜にまばゆくオレンジ色に輝きます。
2014年 火星の見ごろ
3月下旬 スピカと競演
3月の下旬から4月の上旬には、おとめ座の1等星スピカが青白く輝くそのそばに、オレンジ色の火星が明るく威光を放っています。このころの火星は、いよいよ地球最接近間近ということもあり、マイナス1等より明るくなっていて、その存在にはすぐに気が付くことでしょう。
4月14日 最接近の夜、月が近くに
いよいよ4月14日は火星の地球最接近です。マイナス1.4等で明るく輝きます。この夜は満月直前の円い月が4度くらいまで近づいています。スピカも含めたトライアングルはおもしろい光景となるでしょう。
7月中旬 再びスピカに近づく
7月中旬には再び火星とスピカが近づき、14日には1度ちょっとにまで接近します。火星は0.2等になっていますが、青白い1等星スピカとの明るさの近い星どうしによる美しい色の対比は見ものです。夕方から夜半前の西南西の空に見えます。
8月下旬 土星に近づく
8月10日を過ぎると火星はおとめ座からてんびん座に移ります。8月の下旬にかけて土星に近づき、夕方から夜の早いうちに南西の空に見えます。8月31日には月も並び、てんびん座の肉眼二重星α星(ズベンエルゲヌビ)も近くにありますので双眼鏡で楽しみましょう。
モバイルツールを活用すれば、火星の位置やその周りに見える星座、星の名前などが簡単にわかります。
2年2か月ごとに地球に接近する理由
火星の公転周期(太陽の周りを1周する期間)は約687日です。火星が太陽の周りを1周する間に地球は約2周します。この公転周期の違いから、2つの惑星は約2年2か月ごとに隣り合わせとなり、距離が近づきます。
ただ、火星の歪んだ楕円軌道のために接近する距離がその年により変わります。大接近のときには6000万km弱、小接近のときには1億kmも離れることになります。
今年は準小接近
2012年3月の小接近のときには、地球との最接近時でも1億78万kmの距離がありました。今年はもう少し近く、4月14日の最近距離は9239万kmとなります。2018年の大接近に向けて、今回以降は接近回ごとに近くなっていきます。
2003年の大接近のときには、火星の視直径は約25秒角にもなりましたが、今回の地球接近時の視直径は最大でも15.2秒角にしかなりません。この火星の模様を観察するためには、口径がなるべく大きく倍率のかけられる天体望遠鏡が必要になります。公開天文台や望遠鏡のあるプラネタリウムで最接近のころに開催される観望会に参加するのもよいでしょう。空の条件がよければ小さいながらもオレンジ色の表面に黒っぽい模様や白く輝く北極冠が見られるかもしれません。
グッズ、関連情報
グッズ
- 火星くるくる
- 火星の表示だけに機能を絞った手軽なソフト「火星くるくる」では、地名や各種データなども調べられます(Mac版あり)。
- 月刊『星ナビ』2014年5月号
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- 太陽系ビジュアルブック 改訂版
- 多くの写真や詳しい解説で火星や太陽系のことを知ろう
- こども図鑑 惑星の観察
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- 火星儀
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関連情報
- 観望会の情報をチェック! 大きい望遠鏡で火星を見るチャンスです
- パオナビ(全国プラネタリウム&公開天文台情報)
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- 天文ニュース
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- 天体画像処理ソフト「ステライメージ7」を使った火星画像の処理例
- ステライメージ7:火星の画像処理例