2023年の9月ごろから2024年の1月ごろまで、明けの明星の金星が見ごろです。日の出前の東の空で輝く様子はよく目立ちます。
細い月と並ぶ光景はとくに美しく、寒い時期に早起きしてでも見たい夜明け空です。ぜひご覧ください。
目次
金星を見つけよう
明けの明星
2023年7月ごろまで「宵の明星」として見えていた金星は、8月12日に内合を迎えた後は明け方の東の空に移り、「明けの明星」として輝いています。東~南東の空でひときわ明るく輝いているので、一目でそれとわかります。とくに10~11月ごろには日の出1時間前の高さが30度を超えているので見やすいでしょう。2024年1月下旬には10度より低くなりますが、低空まで見晴らしが良ければ3月ごろまで見られます。
金星に関する現象カレンダー
およそ1か月に1回くらいの頻度で、金星と細い月が並んで見えることがあります。金星の輝きはそれだけでも美しいものですが、地球照(地球で反射した太陽光に照らされ、月の暗い側がうっすら見える現象)を伴った幻想的な細い月と金星が明け方の空に並ぶ光景は、さらに見事な眺めとなります。金星と月の共演は肉眼でもよく見えますが、双眼鏡があるといっそう美しさが際立って感じられることでしょう。
また、金星と他の惑星や1等星などとの接近も起こります。最接近のタイミングだけでなく、その前後の日で並び方が変化していく様子も楽しみです。
地上風景も入れた写真撮影にも、ぜひ挑戦してみてください。夜明け空の色や流れる雲の形などは刻一刻と変わっていきます。シャッターチャンスを逃さず、共演を記録してみましょう。
日付 | 現象 | 備考 |
---|---|---|
8月12日 | 内合 | 太陽と同じ方向(地球と太陽の間)になる(見えない) 日付は赤道座標系(黄道座標系では13日) |
9月 3日 | 留(りゅう) | この日を境に、天球上を西→東に動く(順行する)ようになる |
9月18日 | 最大光度 | -4.5等級 ※データ出典:『Astronomical Almanac』(他の出典と日付や等級が異なる場合があります/国立天文台では19日、-4.8等) |
10月上旬 ~中旬 |
しし座の1等星 レグルスと接近 (›› 解説) | 未明~明け方 最接近10日ごろ |
10月11日 | 細い月(月齢26)と並ぶ (›› 解説) | 未明~明け方 |
10月24日 | 西方最大離角 (›› 解説) | 46.4° |
11月 9日 | 細い月(月齢25)と並ぶ | 未明~明け方 ヨーロッパで金星食(日本時間19~21時ごろ) |
11月10日 | 細い月(月齢26)と接近 (›› 解説) | 未明~明け方 |
11月中旬 ~下旬 |
おとめ座の3等星 ポリマと大接近 | 未明~明け方 最接近18日ごろ |
11月下旬 ~12月上旬 |
おとめ座の1等星 スピカと接近 (›› 解説) | 未明~明け方 最接近11月30日ごろ |
12月 9日 | 細い月(月齢25)とやや離れて並ぶ | 未明~明け方 |
12月10日 | 細い月(月齢26)と接近 (›› 解説) | 未明~明け方 |
12月中旬 ~下旬 |
てんびん座の3等星 ズベンエルゲヌビと大接近 | 未明~明け方 最接近18日ごろ |
12月下旬 ~1月上旬 |
さそり座の2等星 ジュバと接近 | 未明~明け方 最接近1月1日ごろ |
12月下旬 ~1月上旬 |
さそり座の3等星 アクラブと大接近 | 未明~明け方 最接近1月2日ごろ |
1月上旬 | さそり座の1等星 アンタレスと並ぶ | 未明~明け方 最接近7日ごろ |
1月 9日 | 細い月(月齢27)と並ぶ (›› 解説) | 未明~明け方 |
1月中旬 ~下旬 |
準惑星ケレスと超大接近 | 未明~明け方 最接近17日ごろ 約13等級差 |
2月上旬 | いて座の2等星 ヌンキと接近 | 明け方 最接近3日ごろ |
2月 8日 | 細い月(月齢27)と並ぶ | 明け方 |
2月中旬 ~3月上旬 |
火星と大接近 (›› 解説) | 明け方 最接近23日ごろ |
3月下旬 | 土星と超大接近 (›› 解説) | 明け方 最接近22日ごろ |
6月 4日 | 外合 | 太陽と同じ方向(太陽の向こう側)になる(見えない) 日付は赤道座標系(黄道座標系では5日) |
金星は2024年6月上旬に外合となり、太陽と同じ方向(地球から見て太陽の向こう側)に位置するので見えなくなります。その後は10月上旬ごろから、夕方の西天に「宵の明星」として見えるようになります。