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ペルセウス座流星群

毎年8月の中旬(ちょうどお盆のころ)になると、「ペルセウス座流星群」の流星がたくさん見られます。この流星群は、1月の「しぶんぎ座流星群」、12月の「ふたご座流星群」とあわせて「3大流星群」のひとつです。

山や高原など空の暗い条件の良い場所で眺めれば、1時間で40〜60個以上の流星を見ることができるでしょう。明るい流星が多いので、空が比較的明るいところでも楽しめる流星群です。

流星群とは

流星は、宇宙空間にただよっている0.1ミリメートルから数センチメートルのチリ(流星ダスト)が、秒速数10キロメートルという猛スピードで地球の大気に突っ込んできたときに発光する現象です。発光する高度は上空100キロメートル前後ですが、これを地上から見ていると、夜空を一瞬で駆け抜けていく星のように見え、“流れ星”とも呼ばれます。

放射点

放射点のしくみ

ほぼ毎年決まった時期に夜空の一点からたくさんの流星が放射状に流れることが知られており、これを流星群といいます。流星が流れてくるように見える中心点を「放射点(あるいは輻射点)」といいますが、その放射点が「ペルセウス座」にあるのでペルセウス座流星群と呼ばれています。

流星群が毎年同じ時期に見えるわけ

流星群のもととなる流星ダストは、彗星または小惑星と深い関係にあります。彗星が太陽に近づいた際に、彗星の核から放出された流星ダストは彗星と似た軌道で太陽を回るようになります。こうしてできた流星ダストの帯に地球が接近すると、流星ダストが地球の大気に突入してきて、流星となって見えるのです。地球は一年で太陽の周りを一周するので、流星ダストの帯と毎年ほぼ同じ時期に接近することになり、流星群のピークは毎年ほぼ同じ日付になるのです。

ペルセウス座流星群の流星のもととなる流星ダストを放出した彗星(母彗星)は、スイフト・タットル彗星です。この彗星が太陽に近づいた1992年前後には、ペルセウス座流星群は例年より活発でした。

ペルセウス座流星群の特徴

ペルセウス座流星群の特徴は、ダストが地球に衝突する速度が速いために明るい流星が多いことです。また、流星が流れたあとに、ぼんやりとした煙のような「流星痕」が見られることも多いです。

今年のペルセウス座流星群はどう見えるの

8月13日午前2時ころの星空

この画像はステラナビゲータ Ver.7及びKAGAYAファンタジーを使って作成しました。

2005年のペルセウス座流星群の活動がピークとなるのは、8月13日の2時から4時と予測されています。およそ4年に一度の好条件です。

さらに、夜半過ぎには月が沈み、もっとも流星の多い時間帯に月明かりに邪魔されずに観測できるので、最高の観測条件といえるでしょう。右の図のように、放射点は北東の空にあります。北の方向をはじめとした空全体がよく見渡せ、空の暗いところなら、1時間あたり数十個の流星が見えるでしょう。

ペルセウス座流星群はふつう8月7日ごろから15日ごろまで見ることができます。ピークの日でなくても、前後数日間は天気の良い晩を逃さず眺めてみましょう。

流星をたくさん見るコツ

たくさんの流星を見るには、それなりの観測ポイントを探し、暗いところに目を慣らすなどのちょっとした準備や工夫が必要です。

空の開けている場所/周りに明るい光がない場所を探そう

ビルの合間など狭く明るい場所ではよく見えない

空の広い範囲が見渡せる場所を探しましょう。とくに天頂から北にかけての方向があけているとよいでしょう。どんなに空がきれいで、星がたくさん見える場所でも、木立や建物があって見渡せる空の範囲が狭いとなんにもなりません。

また、明るい光の下では暗い流星は見えません。ペルセウス座流星群の流星は東京など市街地でも見ることができますが、とくに明るい何割かの流星だけに限られてしまいます。ビルの屋上や広い公園など、直接明るい光が目に入らない場所を探しましょう。

部屋から出たら最低でも30分くらいは空を見上げよう

明るい部屋から出てしばらくは目が暗闇に慣れていないので、暗い星まで見えません。それに、たくさん流れるとはいえ、明るい流星はそんなに多いわけではありません。懐中電灯などはなるべく点けずに、できれば30分くらいは空を見上げて暗闇に目を慣らしましょう。

楽な姿勢で観測しよう

寝袋に入って観測 ベンチでゴロ寝しながら観測

夜空を見上げるのに、立ったままでは首が疲れてしまいます。できれば、シートをひいたりビーチチェアを使ったりして寝転がって見上げるのが一番です。ただし夜露がつくことがあるので、敷物は濡れてもかまわないものがよいでしょう。

夜空全体を見渡そう

夜空全体を見渡そう

流星はどこに流れるかわかりません(放射点の方向とは限りません)し、いつ流れるのかもわかりません。ですから星空全体を気長にゆったりと眺めるようにしましょう。

マナーを守って楽しく安全に観測しよう

立入禁止区域には入らない、車に気をつけるなど、安全面に充分配慮しましょう。また、周辺の住民の方々や他の観測者に迷惑をかけることのないよう、ごみの持ち帰りなどマナーを守って楽しみましょう。

流星の写真を撮ろう

明るい流星は、簡単に写真に撮ることができます。撮り方は簡単で、星野写真を撮る要領で固定撮影あるいは追尾撮影をすればいいのです。

用意するもの

フィルムカメラ全体図
カメラ
フィルムでもデジカメでもよい。一眼レフがベストだがバルブシャッターの切れるものならコンパクトカメラでもOK。
フィルム/メモリカード
フィルムはISO 800など高感度のもの。メモリカードの場合は、何枚もの写真を撮影するので容量の大きいものを。
三脚
なるべくしっかりしたものを。もしも星を追尾撮影するのなら、さらに赤道儀が必要。
レリーズ/リモコン
バルブシャッターを使うために、またカメラに触れることで手ぶれを起こさないために必要。

撮影の基本

デジタルカメラ全体図

観測するときと同じように、場所選びとマナーには気をつけましょう。とくに、カメラのレンズに光が入り込まないようにしなければいけません。レンズに専用のフードを取り付けるとある程度避けられます。また、懐中電灯に赤セロハンをはっておくと、減光されて目にも優しいのでお勧めです。

もう一つ、気をつけなければいけないのが夜露。カメラ本体が故障してしまうほどはつかないとしても、レンズを曇らせてしまうので困りものです。レンズをカイロで暖めるなどの工夫が必要です。ただし、カイロといってもインスタントカイロなどではなく、望遠鏡ショップなどで販売している灰式カイロです。

流星はどこを飛ぶかわかりません。なるべく焦点距離の短い広角レンズを使いたいところです。また、流星が光るのは一瞬なので明るい(F2.8以上)レンズと(フィルム撮影なら)高感度のフィルムを使いましょう。

後はひたすらシャッターを切るだけです。露出時間が長すぎると空も白く写り込んでしまうので、数分間隔で、数多くの枚数を撮るのがコツです。フィルムの枚数やメモリカードの容量には注意。

カメラによる撮影手順や、ビデオ撮影についての説明が、特集「2005年夏の星空三昧」にもあります。

一番のお勧めはデジタル一眼レフ

最近ではデジタル一眼レフカメラが増え、天体写真撮影にも使われるようになってきました。写るかどうかわからない中で数分露出の写真を何枚も撮影しなければいけない流星写真は、無駄になってしまうかもしれないフィルムや現像代を使うフィルムカメラよりも、デジタルカメラの方が有利です。また、シャッターを自動的に切り続ける連写モードを備えたものも多いことや、撮影後の画像処理も簡単にできるなど、意外と気軽に楽しめます。

星ナビ9月号にてデジタル一眼レフを使った流星写真の特集が予定されていますので、詳しくはそちらをご覧ください。