「ウルティマ・トゥーレ」の正式名が「アロコス」に決定
【2019年11月15日 ジョンズ・ホプキンズ応用物理研究所】
太陽系外縁天体「(486958) 2014 MU69」は、2014年6月にハッブル宇宙望遠鏡(HST)による観測で発見された小天体だ。2015年7月に冥王星にフライバイ(接近通過)した探査機「ニューホライズンズ」は、冥王星の次にこの2014 MU69を目指した。そして3年半後の今年1月1日、ニューホライズンズは2014 MU69をフライバイし、2つの塊がくっついた雪だるまのような不思議な形状を明らかにした。これは直接探査された天体としては史上最も遠いものである。
研究者たちはこれまで、2014 MU69を「ウルティマ・トゥーレ」と呼んできた(参照:「ニューホライズンズの次の目標天体は『世界の果て』」)。しかしウルティマ・トゥーレは愛称であり、手続きを経て認められた正式名ではなかった。
そこで2014 MU69を発見したチームは国際天文学連合の命名規則に従って名称を提案し、このたび「アロコス(Arrokoth)」が正式名として採用された。
アロコスとは、米・メリーランド州付近の先住民族「ポウハタン(Powhatan)」の言葉で「空」を意味する語である。同州にアロコスを発見したHSTを運用する宇宙望遠鏡科学研究所と、ニューホライズンズ・ミッションの中心を担うジョンズ・ホプキンズ応用物理研究所があることに由来する。アメリカ開拓の歴史が始まったころに、この一帯の多くの先住民族をまとめていたのがポウハタンだ。
「『アロコス』という名前は、広大な空を見つめてそれに感化されることと、太陽系の先に存在する星々や他の惑星がどんなものかに想いを馳せることを反映しています。知を得たいという願いがニューホライズンズ・ミッションの中核です。ポウハタン族コミュニティーとメリーランド州の人々と共に、この祝いの場に加われることを光栄に思います」(ニューホライズンズ主任研究員 Alan Sternさん)。
「アロコスのデータからは、惑星形成などに関する手がかりが得られています。地球上の生命起源の理解にもつながるものが秘められているかもしれません」(米・サウスウエスト研究所 Marc Buieさん)。
〈参照〉
- Johns Hopkins University:New Horizons Kuiper Belt Flyby Object Officially Named 'Arrokoth'
- MPC:111822: (486958) Arrokoth = 2014 MU69 最終ページ
〈関連リンク〉
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