冥王星最接近から1年 研究者が選ぶ「ニューホライズンズ」の10大発見

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探査機「ニューホライズンズ」が冥王星のフライバイ観測を行ってから7月14日で1年を迎えた。現在までのニューホライズンズによる発見トップ10などを挙げながら、2015年7月14日を振り返ってみよう。

【2016年7月20日 Johns Hopkins University

1年前の2015年7月14日 日本時間20時49分(米国東部夏時間 14日7時49分)、あなたはどこにいただろうか。その時、地球から48億km先では、ニューヨーク・ロサンゼルス間をたった約4分で飛行できるほどの速度でNASAの探査機「ニューホライズンズ」が冥王星とその衛星をフライバイ(接近通過)し、太陽系外縁部に対するわたしたちの見方を変えてしまう数百枚にのぼる写真やデータを取得した。

そのおよそ半日後、ニューホライズンズから地上管制チームに冥王星フライバイの成功を知らせる信号が届き、研究者のみならず世界中の人々が興奮と感動に湧いた。

現在までにニューホライズンズは全体の約80%のデータを送信済みとなっており、今年10月までには全データの送信が終わる予定だ。冥王星フライバイの前に取得されたデータや画像も含め、ニューホライズンズはこれまでに数多くの興味深い情報を届けてくれている。「ニューホライズンズから地球へ送信されてきた冥王星とその衛星に関するデータは、惑星科学に革命をもたらし、あらゆる世代の人々を感動させました。わたしは一生、チームの仲間と米国民の皆さんへの感謝を忘れないでしょう」(ニューホライズンズ主任研究員 Alan Sternさん)。

約77万kmの距離から撮影された冥王星
最接近前の7月13日に約77万kmの距離から撮影された冥王星(提供:NASA/JHUAPL/SwRI、以下同)

現在までのニューホライズンズによる発見トップ10(Sternさんによる)

  1. 予想を超えた冥王星と衛星の複雑さ
  2. 冥王星表面で今も続いている地質学的な活動の度合い、複数の若い地形
  3. 冥王星におけるもやの存在と、予想以上に低かった宇宙空間へ大気が逃げ出す割合(フライバイ以前のすべての予想を覆すほどのレベル)
  4. 地殻運動でできた、衛星カロンの赤道に沿った帯状の地形。ずっと昔にカロンに存在していた水の氷の海が凍ってしまった可能性を示唆。さらに、現在も冥王星内部に水の氷の海が存在している可能性
  5. すべて冥王星の衛星について、表面のクレーターから推定される年齢は同じ。衛星は昔カイパーベルトで起こった冥王星と他の天体との衝突でできたという理論を支持
  6. 暗く赤いカロンの極冠は、太陽系の中でも他に例がない。冥王星から大気中のガスが逃げ出し、カロンの表面に蓄積したのかもしれない
  7. 冥王星に1000kmにわたって広がるハート形をした窒素の氷河(非公式名:スプートニク平原)は、これまでに太陽系内で知られている氷河としては最大
  8. 冥王星の大気は青い
  9. 冥王星に大きな気圧の変化を示す証拠。さらに、表面を流れていたか溜まっていた揮発性の液体(太陽系内では地球と火星、土星の衛星タイタンにしか見られない)が過去に存在した可能性も
  10. 新たな冥王星の衛星が発見されなかったのは予想外

氷火山とみられる地形「ライト山」
氷火山とみられる地形「ライト山」。かの「ハートマーク」領域の左下部分にある

色を強調したカロン
色を強調したカロン。赤っぽい北極領域は「モルドール・マキュラ(Mordor Macula)」(非公式名、Maculaは広い斑点状の地形のこと)

なお、冥王星を後にしたニューホライズンズの次なる挑戦は、さらに16億km離れた古く小さいカイパーベルト天体「2014 MU69」へのフライバイだ。この1年で冥王星から4億8000万km離れたニューホライズンズが2014 MU69へ到着するのは2019年1月1日の予定となっている。

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