冥王星の低い山々、衛星ニクスとヒドラの高解像度画像
画像は探査機「ニューホライズンズ」の望遠撮像装置「LORRI」が7月14日に冥王星上空7万7000kmから撮影したもので、差し渡し約1kmほどのものを見分けられる解像度だ。冥王星の全体像に見られるハート型の「トンボー領域」の南西部(左下付近)がとらえられており、明るい氷原と暗くクレーターの多い大地の境界部にそびえる山々が見える。
すでに公開された画像からは3500m級の氷山が連なる「ノルゲイ山地」が発見されていたが(参照:アストロアーツニュース「冥王星のクローズアップ画像公開、3500m級の氷山」)、今回新たに発見された氷山の高さは1000mから1500mほどと低い。
「東側に位置する、若い地形である明るい氷原と、暗くクレーターの多い西側の地形には、明らかな違いがあります。2つの間で複雑な相互作用が起こっているのでしょうが、詳しいことはまだわかりません」(NASAエイムズ研究センター Jeff Mooreさん)。
右側の「スプートニク平原」は形成から1億年以下と地質学的に比較的若いと考えられ、暗い領域はおそらく数十億年前の地形とみられている。Mooreさんはとくに、明るい堆積物のようなものが古いクレーターを満たしているように見える点(たとえば、中央のやや左下に見える明るい円形地形)に注目している。
※トンボー領域、スプートニク平原、ノルゲイ山地は、いずれも非公式名。
衛星ニクス(画像中、左)とヒドラの鮮明な画像も公開された。
ニクスの観測は7月14日に約16万5000kmの距離から可視光・赤外線撮像装置「Ralph」で行われた。画像解像度は約3kmほどで、ニクスの大きさは長さが42km、幅が36kmと計測されている。
とくに研究者の興味を引いているのは赤っぽい部分で(色は強調処理してある)、クレーターではないかと推測されている。すでに撮影済みだがまだ送られていない観測データがあり、今後が楽しみだ。
一方、いびつな形をした衛星ヒドラ(画像中、右)の白黒画像は、「LORRI」によって7月14日に約23万1000kmの距離から撮影されたものだ。画像の解像度は1.2kmで、ヒドラの長さは55km、幅が40kmと計測されている。
これまでで最も鮮明なヒドラの画像には、少なくとも2つの大きなクレーターらしいものが写っている。衛星の上部が他の領域より暗く見えているのは、表面の物質の組成が違うことが原因ではないかと考えられている。
なお、衛星ステュクスとケルベロスの撮影データは10月中旬までに地球へ送信される予定だ。
〈参照〉
- NASA:
〈関連リンク〉
- 冥王星探査機ニューホライズンズ: http://pluto.jhuapl.edu/
- NASA: http://www.nasa.gov/
- 月探査情報ステーションブログ: http://moonstation.jp/ja/blog/
- 星ナビ.com:
- 2015年7月号 特集「ニューホライズンズ」「冥王星を探す・撮る」「発見者クライド・トンボー」
- こだわり天文書評:
- 「太陽系はここまでわかった」
- 「太陽系ビジュアルブック 改訂版」
- 「なぜ、めい王星は惑星じゃないの?」
- 「新しい太陽系」
- 「Planets Beyond - Discovering the Outer Solar System」
- 「IS PLUTO A PLANET?」
- 「Pluto Files」
- アストロアーツ 投稿画像ギャラリー: 冥王星
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