衛星カロンに地下海はあったか 答えは来夏の冥王星探査で
【2014年6月17日 NASA】
2015年7月に探査機「ニューホライズンズ」が冥王星に到着するのを前に、衛星カロンの過去と現在の地表の状態を結びつけるモデルが発表された。もしカロンの表面に割れ目が見つかれば、その地下にかつて海があった可能性を示す材料となるかもしれない。
かつては惑星だったが今では準惑星に分類される冥王星は、太陽からの距離が太陽〜地球の距離の約30倍から50倍も離れている。表面温度は摂氏マイナス229度で、とても表面に液体の水は存在しそうにない。
もちろん、衛星も極寒の世界である。冥王星にはこれまでに5つの衛星が見つかっており、そのうち最初に見つかったカロンは冥王星に対する質量が8分の1もある大型の衛星だ。
現在、冥王星とカロンは常にお互いに同じ面を向け、安定した真円の軌道を回っているが、この状態に至るまでにカロンは細長い楕円軌道を回っていた時期があったと考えられている。そのような時期には潮汐変形で熱が発生し、カロン内部に液体の海が存在した可能性もあるという。
NASAのAlyssa Rhodenさんらは、カロンの軌道の変化と、それに伴って作られる地表の割れ目がどのようなものかについていくつかのパターンのモデルを作成した。
カロンの内部に液体の海がある場合のモデルでは、軌道がそれほど細長くなくても、冥王星の近くをカロンが公転していれば木星の衛星エウロパのような割れ目が作られるだろうという。エウロパの割れ目(画像2枚目)は木星との潮汐作用でできたもので、その内部には広大な液体の海があるのではと注目を集めている。土星の衛星エンケラドスも同様だ。
もしカロンの表面に割れ目があった場合には、その模様をモデルと照合することで、軌道の変化や割れ目ができた当時の氷殻の厚みや粘度、内部に海が存在した可能性などを探ることができるという。割れ目が見つからなくても、やはりカロンの形成史を調べる手がかりとなるだろう。地上の天体望遠鏡では遠すぎるうえに小さすぎて見えないカロンの表面が実際にどうなっているか、2015年7月にNASAの探査機「ニューホライズンズ」が冥王星に到着するのが楽しみである。
探査機「ニューホライズンズ」の位置と航路
天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では、ニューホライズンズのほか「ボイジャー」「はやぶさ」など、主な探査機の設定日時における位置や航路を表示することができます。