地表から探るエウロパの海

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2013年3月8日 NASA

木星の衛星エウロパの地表に、地下の海に由来すると思われる物質が見つかった。地表と地下がつながっている証拠となるもので、生命の可能性を秘める海を探るヒントを地表の調査から得ることができるかもしれない。


「ガリレオ」がとらえたエウロパ

1998年にNASAの探査機「ガリレオ」がとらえたエウロパの姿。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/University of Arizona)

エウロパの地表と地下の海

エウロパの地表と地下の海の想像図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

準惑星エリスやマケマケの発見者として有名なMike Brownさん(米カリフォルニア工科大学)とKevin Handさん(NASAジェット推進研究所)が、木星の衛星エウロパの地下にあるとみられる海から地表に塩水が出ているという強い証拠を見つけた。

エウロパの表面は氷で覆われているが、その100km地下には液体の広大な海があると考えられており、生命がいる可能性がたびたび取りざたされる天体の1つだ。

研究チームは、米ハワイにある口径10mのケックII望遠鏡の分光観測データを詳しく調べた。するとエウロパの、木星に向いていない側(エウロパは常に木星に同じ面を向けているので、その裏側)の赤道付近に、これまで見つかっていなかったわずかなスペクトルの吸収が見られた。様々な検証の結果、どうやらこれは「瀉痢塩(しゃりえん)」と呼ばれるマグネシウムの含水硫酸塩鉱物であると判断された。地下の海から地表に出てきた塩化マグネシウムと、同じく木星の衛星イオの火山から木星磁場に沿って流れついた硫黄とが反応して生成されたものとみられる。

「エウロパの海は閉じた場所ではなく地表とつながっていて、化学的な物質交換が行われているという証拠を手にしたのです。これはエネルギーが海に注ぎ込まれているということを意味し、生命の可能性を考えるうえで重要なことです。また、地表を調べれば地下の海のことがわかる、ということにもなります」(Brownさん)。